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「……ここや。」

あの日の記憶を頼りにあの商店街までやってきた。

途中で分からなくなったけどとにかく足を動かして走った

　

見えてきた寂れた商店街の1番端の3階建てのビル

地下に続く階段を降りると重たいあの扉がある

ドアの取っ手に手をかけると急に鼓動が速くなった

……また嫌がられたらどうしよう。

イヤ、その時は帰る！もうそれだけや！！！

スーッと息を大きく吸い込み意を決して、俺は扉を開いた

「……あーー！！！死.のうとしてたお兄さん！！！！！！来てくれたの！？」

ドアを開けた瞬間、様々な音色に包まれた。見渡す限りここは音楽スタジオなのか？

それらを奏でているのは、こないだ俺がここに連れてこられた時にいたメンバーと同じ。

金髪の派手な髪で確か神ちゃんと言われていた人、名前は分からないが顔が凄く綺麗な人、

そして濵田さんとあの女の子。

俺が少しキョロキョロしていると1番最初に気づいたその女の子が、あの時のような笑顔で俺の元に走ってきた

『あ、すみません…。あの、勝手に来てしまいました、、、』

「ううん！すっごい嬉しい！！！みんなー！きてーー！！！

女の子がそう言うと残りの人達も持っていた楽器を置いてこちらに来てくれた

「あぁ！あの時の！いらっしゃい！」

ニコニコしながら前のような笑顔で迎えてくれた濵田さんは、俺をみてホッとしたのかなでている肩を余計に落とした

「もう来てくれへんのかなと思ってたんです。あん時、君の前でAとやり取りしてもうたし。

……神ちゃんも君の前で、Aと言い合いになってしまったからってちょっと気にしてたんですよ」

すみません、と濵田さんの隣で少し申し訳なさそうな顔をして頭を下げた神ちゃんさん

正直、俺がここに来て1番嫌がりそうだと思ったのがこの神ちゃんと呼ばれていた人だったから、意外な反応で少し驚いた。

『……あの、俺、迷惑じゃなかったですか？』

「なんで！？全然！あの時Aが急に言い出したからびっくりしてもうて…

俺の方が感じ悪かったですよね…」
　

もう一度頭を下げた神ちゃんさんに俺は慌てると、今まで黙ってそれを見ていた顔の綺麗なお兄さんが口を開いた

「で、どうすんの？A。とりあえずこのお兄さんに俺らのやつ見てもらう？」