お前今度は何やらかした ページ7
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この光景を目撃した人間は一体、なんと言うのが正解なのか。
自らの同期に土下座をして「妹さんを僕にください!!」と叫ぶ萩原を見下ろしながら、俺は眉間にシワを寄せた。ていうか眉間にシワを寄せた程度に抑えただけまだマシだろ。
萩原が土下座を向ける先には、高校時代の友人を彷彿とさせる金髪碧眼の持ち主、降谷零。奴は明らかに冷め切っている眼差しで萩原を見下ろすと、「貴様にはやらん。帰れ」と吐き捨てる。なんだこいつら。
「あー……さては萩原の彼女ってゼロの妹か」
「……お前も知ってるのか」
「知ってるもなにも同級だわ。そういやあいつも降谷だったな」
あいつがゼロの妹だとすると、萩原の意味不明な怪奇行動にも合点が行く。
実は俺達の高校にも降谷という苗字を持つ奴が一人居たのだ。容姿もゼロとそっくりな金髪碧眼という日本人離れしたもので、今思うと何故もっと早く気づかなかったのか甚だ疑問だ。
一人納得している俺を萩原が泣きそうな目で見上げてくる。
確か降谷の家は両親が早くに他界して身内は兄だけだと言っていた。そしてその唯一の兄はシスコンを拗らせているゴリrじゃねぇゼロ。
いや、普通に考えてこいつを説得すんのは無理だな。諦めろ萩原。
「陣平ちゃんからもなんとか言ってくれよ!!!」
「ほー。お前もこいつに加勢するのか?もしそうなら容赦はしないぞ」
「テメェにやられる気なんざさらさらねぇが、関係ねぇ喧嘩はしない主義なもんで。勝手にやってろ」
「見捨てんの早すぎない?!?」
「陣平ちゃああああん!!!」と悲痛の叫びをあげる萩原にヒラヒラと手を振って、その場を後にする。面倒ごとにはなるべく関わりたくない。
それに、あの男がゴリラを前にしただけで諦めるような奴なら、最初から諦めちまえばいい。所詮降谷に対する感情はその程度だったんだな、で済む話だ。ゼロとの関係性もこれ以上悪くならない。万々歳じゃねぇか。
けどお前はそうじゃねぇだろ。
高校ん時から彼女に可愛いを連呼して、降谷に惚れてからは女への無意味な媚び売りもやめて、ずっとあいつのそばに居た。好きになった女の耳が聞こえないから、今まで視界にも入れてこなかった手話を必死こいて頭に叩き込んだ。
その努力をゼロを前にしたというだけで水の泡にするほど、お前は馬鹿じゃねぇはずだ。
「俺は、あの子の全部を受け入れたい」
あの言葉は嘘じゃねぇって信じてるぜ。
まぁ、手助けしてやる気は毛頭ないが。
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ミルクティー - 萩原&降谷妹の小説から飛んできました!すごく面白いです!!めっちゃ失礼かもしれないですが、景光の気になる人が喫茶店のオーナーだって知った瞬間に叫びました笑 更新頑張ってください! (2022年5月22日 10時) (レス) @page11 id: ae52256784 (このIDを非表示/違反報告)
音美 - …尊死しました、あのね、ガチで一瞬気絶しちゃったんですよ、この作品僕を殺しにかかってるんでは無いですか??? (2022年5月9日 23時) (レス) @page11 id: aed0770e75 (このIDを非表示/違反報告)
Topaz トパーズ - 更新楽しみにしてまってます!!! (2021年11月2日 5時) (レス) @page9 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - ぜっっっったいあると思いましたwwww初コメ失礼します!続き楽しみに待ってますね (2021年9月3日 21時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無糖 | 作成日時:2021年9月3日 15時