彼女に紹介されたお兄さんが同期だった場合の対処法【萩原研二】

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そもそもとして、僕と萩原は班の中でも特に関わりが少ない。
ヒロは言わずもがなだとして、伊達班長とは班を取り仕切る人間として接する機会は多いし、松田は一度殴り合ったこともありそれなりに話すようになった。

ただ、萩原とだけは距離を詰めるタイミングを見失った。別に確執があるわけでも、特別毛嫌いしているわけでもないが、あいつと居る時は大抵松田やヒロが近くにいるし、何か共通の話題があるわけでもないので、わざわざ話しかけにも行かない。




Aとの件が無ければ、こうして付き纏われることも無かっただろう。






「ヒロから見て、萩原ってどんな奴なんだ？」

「急に難しい質問だなぁ。普通にコミュ力の高いムードメーカーだと思ってるけど」






僕も最初はそう思っていた。なんなら初日から女子に囲まれて満更でも無さそうな顔をしていたもんだから、てっきり女遊びを日常的にしている奴かと。

だからこそAに萩原を紹介された時は「よりにもよってなぜこいつなんだ」と感じざるを得なかった。あいつの持つ観察眼の凄さは認めているけども、人間性までは受け入れていない。どう見ても軽い男だろ。







「＿＿＿＿＿＿あぁ、でも、思ってた以上に誠実な男だよ。絶対に嘘を吐かない。特にAちゃんにはとことん真っ直ぐで、あの松田さえ引くレベルだった」







「だから、今すぐとは言わないけど、いつかはちゃんと萩原と向き合ってやってほしい」最後にそう言い残したヒロが消えて、一人、自販機の前に立ち尽くす。


……分かってる。ヒロの言いたいことも、僕の方が子供だということも、全部。


僕の抱いていた印象のほとんどが偏見だったと気づいたのは、萩原に「妹さんをください」と絡まれるようになってからだったと思う。
あの日から僕は、あいつがどんな男なのかを見極めるために前よりも萩原の動きを観察した。
お陰で松田には変な目で見られたが、別にあいつの中の評価などどうでもいい。お前の激寒ギャグよりは確実にマシだ。






「合コン？それなら俺彼女居るから、その子に許可取ってからだけど、それでも大丈夫そ？」






そして分かったのは、少しでも疑われそうな行動に関して、あいつが毎度律儀にAに報告しているということ。

それで毎回参加できているということは、毎回Aが許可しているのだろう。兄としては止めろよと説教したくなるが、お互いの信頼関係から成り立っているのだとしたら、下手に口出しもできない。今の所怪しい動きもないしな。







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