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「んー降谷ちゃんはさ、Aちゃんが青色の補聴器を使う理由って、知ってる?」






僕の質問に答えはなく、窓の外に目をやっていた萩原から別の質問を打ち返される。

Aが青色の補聴器を使う理由。

そんなこと聞いたこともなかったが、ここで素直に「知らない」と答えるのも無駄なプライドが邪魔をして出来ず、Aの性格から予測できそうなことを言ってみる。






「……自分の目の色と同じだからとかじゃないのか」

「半分正解!……正解は、お兄さんの瞳の色と同じだからなんだってよ」

「僕の……?」






周囲の人間とは違うということ以外に、なんの感情も湧いてこなかった自分の瞳。ただただ、自分の瞳は青色で妹と同じ色であるという事実を漠然と思い浮かべていただけだった。そんな瞳の色と同じ色にしたところで、Aに何かメリットがあるとは思えないが。


訝しむ僕に、なにやら萩原は呆れたように笑っていた。そのなんでもお見通しだという瞳は妙に僕をムカつかせ、思わず軽く彼の肩を殴る。痛い?知らないな。当たる方が悪いだろ。







「そんな難しく考えなくても、単純にそれだけお兄さんが好きってことでしょ。Aちゃん、よく俺にもお兄ちゃんは凄いんだよ!って自慢してくれるし。兄妹だけど嫉妬しちまうねぇ」







自然な動作で僕の手中から携帯を抜き取った萩原は、もう一度画面の中のAを見つめ、パタリと閉じる。そのまま壁を背に座り込むと、彼は僕にも隣へ来るよう手で促した。
無駄に意地を張る必要もなかったので、大人しく彼の隣に立ち、冷たい壁に背中を預けた。

携帯の仄かな明かりが消えた廊下では、どんな時も月明かりに頼るしかなかった。
辺りの静けさが妙に耳につき、冴え渡った目で月明かりに照らされた萩原の横顔を見下ろす。







「……それで、それとこれがどう関係あるんだ」







萩原の話を聞いて、妹がそんな風に自慢してくれている事を嬉しく思ったのは事実だ。
だけど質問の答えにはなっていない。いくら妹が兄を大切にしていようとも、僕の了承を得なければならないなんて決まりはない筈だ。

僕の疑問に、萩原は長く息を吐いた。







「……彼女の大切な人は、俺も大切にしたいじゃん。だから俺は、お兄さんとも良好な関係で居たいって思うんだよ」







それじゃあ、降谷ちゃんの質問の答えになんない?



そう言って僕を見上げる眼差しが、あまりに真剣だったものだから。
自分にしては珍しく言葉を見つけられなくて、「勝手にしろ」の一言を吐き捨てるのが、今は精一杯だった。






お前二度と車運転するなよ→←□



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うな - 陣平ちゃんが最後らへんで言っていた、2人の結婚式は呼ぶって言ってたのに的な話のとこで止まりかけてた涙が一気に溢れてきました。萩も大怪我なのに最後まで彼女ちゃんを守ろうとしている所がもう…😭最後の写真もすごく素敵だし、大泣しました。大好きです。 (5月6日 15時) (レス) @page49 id: c7c459b30e (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ - 読み終わった後、偶然、コナンのEDにもなった「ジューンブライド〜あなたしか見えない〜」を聴いたんですが、この曲の歌詞が妙にこの作品に合っている気がして、またこの作品を思い出して泣いてしまいました。心に残る素敵な作品をありがとうございました。 (2022年10月16日 17時) (レス) id: ba9ab70415 (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ - 読み終わった今も涙が止まりません…。まず二人が助からないと分かったところで大号泣、夢主が既に亡くなっていたと分かったところで大号泣、最後の写真で大号泣…。ずっとギャグだったから、こんな結末全く予測していませんでした…。 (2022年10月16日 15時) (レス) @page49 id: ba9ab70415 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 最後のイラストで涙が止まらなくなりました😭 (2022年6月23日 22時) (レス) id: 1cfa02e0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - まさかの結末で涙が止まらない、、、 (2022年6月14日 19時) (レス) @page48 id: 2eb7e133f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作成日時:2021年7月25日 15時

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