彼女に紹介されたお兄さんが同期だった場合の対処法【萩原研二】

妹に紹介された彼氏兼同期 ページ24

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「お兄さん！！！妹さんを僕にください！！！」


「お前にお兄さんと呼ばれる筋合いはない！！！！」







＿＿＿＿＿＿一体このやり取りも何回目だろうか。


朝っぱらから大声を出したせいで喉が痛い。乾燥している喉元を摩りながら「こっちは寝起きなんだよ」と元凶に対して睨みを効かせるも、無駄に強靭なメンタルを保持している男は「そんなに睨んだら折角の色男が台無しだぜ？」と言って星を飛ばしてくる。ぶっ飛ばしてやろうか。



僕がこの男＿＿＿萩原研二に付き纏われるようになったのは、ひと月ほど前にあった長期休暇での出来事が原因だ。
この出来事について簡潔に説明するならば、【妹に紹介された彼氏が同期だった】。これに尽きる。これ以上にシンプルかつ的確な説明を僕は知らない。ていうか一億二千万分の一がなぜお前なんだ。ムカつくからやっぱ殴らせろ。







「えぇっと、どうもお兄さん。Aさんとお付き合いさせて頂いてる萩原研二です。ハハッ」







……あの日、今日まで双子二人三脚でやってきた妹から「お兄ちゃんに紹介したい人が居ます。会ってくれますか？」とメールが届いて、すぐ様嫌な予感が頭を過った。僕もそこまで馬鹿じゃないし鈍感でもない。

身内に対して使うには不自然すぎる丁寧な言い回し、会ってほしいではなく、会ってくれますかという問いかけ、そして大学院に進んだ妹が【紹介したい人】…………推測するに十分な情報は揃っていた。







【分かった。数日後会おう。】







本当はその場で「彼氏だろう？」と先手を打ち、やめとけなりなんなり釘を刺せば良かったのだろうが、生憎両親の居ない僕が帰省する場所といえば妹の元しかなく。
その際、どの道妹と顔を合わせるのならせめて相手の顔だけでも拝んでやろう、と会うことを承諾したのが運の尽きだった。



＿＿＿妹に言われて出向いた喫茶店に、見慣れた顔の男が居座っていたのだ。

それも、僕の可愛い可愛い妹と仲良く横一列に並んで。
Aの彼氏だかカレピだか知らないが、そこは本来僕の席だ。今すぐ退けろ萩原。さもなくば処す。



そんな殺気を飛ばしていることに気づいていたのか、僕が退席するその瞬間まで、正面の男はビクビクと萎縮気味。

どうせならそのまま尻尾を巻いて逃げればいいものを、無駄に威勢の良いこいつは、恐怖の対象である僕にすら真っ向から向かってきた。上っ面だけの男ではないようだ。



まぁ、だからと言って認めるわけではないが。








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