彼女に紹介されたお兄さんが同期だった場合の対処法【萩原研二】

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Aちゃんからある日【私のお兄ちゃんと会ってほしい】とメールが届いたのは、警察学校全体が長期休暇に入る一週間前のこと。


その日も俺は普段と変わらず幼馴染で同期の陣平ちゃんと食堂で食事を取っていて。
食事中、机に置いてある俺の携帯の振動にいち早く気づいたのは、意外にも彼の方だった。

手に取って見てみると、送信元の欄には定期的に連絡をくれるAちゃんの名前。好きな子と話せた男子高校生のようにガッツポーズをしながら、嬉々として陣平ちゃんにそれを伝える。






「彼女からのメールだったわ」

「あぁ、あの美人の彼女な」

「あげねーよ？」

「狙ってねーし」






おらさっさと確認しろ、と言わんばかりに隣に居た陣平ちゃんに手で追い払われ、それはそれでなんか腑に落ちねぇなんて思いながらガラケーを開く。


Aちゃんからのメールを確認すると、メールの最初はいつも通り【研二くん、いつもお疲れ様！】から始まった。
その文面を見てまたもや顔がニヤける。警察官になったら会えなくなるから別れよう、と言ったのは俺だけど、今思うとあの時彼女の方から引き止めてくれて助かった。マジで。

このメールが無ければ今頃男だらけのむさ苦しさにうんざりしていた所だ。
おまけにうちの教場の教官は名前通りの鬼だし、同じ班には首席の男が居るしで周囲のハードルくそ高いし。まぁやりがいがあって面白いけどさ。







「お前の彼女なんだって？」

「待ってまだそこまで見てない。一行目のお疲れ様で癒されてた」

「率直に言うが大分きもいぞお前。そいつが彼女で良かったな」

「陣平ちゃんもそう思う？！？」

「ダチがストーカーで連行されるよりマシだ」







相変わらずの仏頂面で鮭をつつく陣平ちゃんに辛辣なお言葉を頂戴しながら、ようやっとお疲れ様以降の文面にも目を通す。


書かれていた内容を要約するならば、一週間後の休みに俺を双子のお兄さんに紹介したい、というもの。
お兄さんか。はたしてどんな人なのか。

Aちゃんと言えばやはり、まず一番に容姿の美しさが来る。例えるならそこらの有名雑誌の表紙を飾っていても可笑しくないくらいだ。







「松田、萩原の奴何してるんだ？」

「見て分からねぇか？彼女からのメール見てニヨニヨしてんだよ」

「うわ」







そうそう、見た目のイメージで言えば、今まさに俺を汚物を見るような目で見てる【降谷ちゃん】的な感じ。だからきっとお兄さんもあんな感じなのだろう。

……そういやAちゃんの苗字も【降谷】だったような。
いや、偶然か。







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