永瀬くんのお気にいり③ (ページ47)

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永瀬side

カニさんって可愛いかよ

永瀬｢カニさん見せたかったの｣

A ｢でも意外と足速くて｣

永瀬｢Aが足遅いだけちゃう？｣

A ｢え、急に悪口？｣

"ひどーい"ってむくれる彼女
そんな小さい仕草もかわいい

A 「きもちーですね」

永瀬「せやな」

潮風がAのワンピースを靡かせる

永瀬「白いワンピースって、漫画みたいやな」

風で靡く髪を抑える彼女は儚くて今にもどこかへ消えてしまいそう

A 「おりゃ！」

永瀬「ぶっ！！！うっわ！！ちょ、だるいって」

A 「ぼーっとしてるからですよ」

永瀬「俺今真剣に、Aのこと考えとったのに！！」

あーあ。顔に水掛けられた
楽しそうに笑ってるからえーけどさ

永瀬「手出して」

A 「？？？はい」

控えめに広げられる俺より一回り小さい手

永瀬「ん、あげる」

A 「うわー…きれー……」

永瀬「シーグラス？やっけ、さっき拾った」

A 「すごーい！！きれー！！」

太陽に透かして嬉しそうに微笑むから、俺まで口角が上がってしまう

永瀬「おりゃ」

A 「わっ！！……ちょっとー日焼け止め落ちちゃいます！！」

永瀬「さっきの仕返し」

なんこれ、こんな青春みたいなの
彼女と海とか、水かけ合うとか絶対やらんわって思ってたのに

A 「じゃあ私も仕返しの仕返し！！」

Aが楽しそうならなんでもいいやって、俺も楽しくなってしまうのなんでなんやろ

永瀬「俺、Aのことめっちゃ好きやわ」

A 「え？なんですか？きこえなーーーい」

ちょっと遠くにいた彼女には聞こえへんかったみたい

永瀬「また今度な」

A 「えー、今聞きたいです」

永瀬「だーめ。あ、ほらカニさんやで」

A 「ほんとだ！！」

暑いのも、濡れた足で砂の上歩くのも、Aと一緒なら悪くないなって思った日やった