思い通りにならない彼女【煉獄杏寿郎】

8 ページ9

「Aが、まさか、杏寿郎くんと婚約しちゃうなんて思ってもみなかったー」



『…ほんとにね』



「もっと嬉しそうにしなさいよー！
それに瑠火さんとこ、由緒あるお家柄なのよ？
とても良い話しじゃないの。
ちゃんと杏寿郎くんを支えてあげるのよ」




『……ソウダネ』







言えない……






お母さんには絶対に言えない……………






カタチだけの婚約だなんて………………






絶対に言えない………




______

あれから………



『提案？』



杏寿郎「そうだ、俺は女性に声をかけられ誘われるのもうんざりなんだ。
そこで婚約者がいれば、それも無くなると思っている」



『……特定のお相手を作れば良いだけなのでは……？』



杏寿郎「それではダメだ！ 俺にはその気は全くない。
なので恋人らしい事をするのもされるのも煩わしい」



『………さすがお顔の整った人は凄いことを言いますね…』



杏寿郎「そこで君だ！
元々、俺に好意が有るわけでも無いんだ、俺に求めること等何も無いだろう？
だから婚約者のフリで良い、あとは好きにすると良い」



『い、いよいよ発言がとんでもない……!』




杏寿郎「何が不満だ？」




『いくらフリと言っても私がその間に将来を共にするお相手が見つけられないじゃないですか！』




杏寿郎「む？
ふむ……ならば君は自由に相手を見つければ良い！
その相手が見つかるまでは俺の婚約者という事で何の問題も無い！！」



『そんな無茶苦茶な…』



杏寿郎「それと……
君は見合いの時に言っていたが書物が好きなんだろう？
婚約者のフリをしてくれている間、君が欲しいと思った書物を用意してプレゼントしよう。
西洋の書物でも何でも」





………………この最後の提案に頷いてしまった…。
西洋の本は中々手に入らないし………






それで私は煉獄杏寿郎さんの婚約者(偽)になったのだ。










杏寿郎「それと、俺のことは間違っても好きになんてならないでくれ」








最後にこう言われて。

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す