俺はもう「好き」って言わない【赤葦京治】

「好き」って言わない ページ1

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「ごめん、待った？」

『ううん、別に大丈夫』



そう言い、彼女の隣に並ぶ俺。
その彼女の名前はA。1年前から付き合っている。

Aはマフラーに顔を埋め、片方の手はポッケの中 もう片方はスマホで、俺には全く興味がない。



「寒いね」

『うん、今日は特に』



俺は、もっとAと手を繋いだり、抱き締めたり、もっと恋人らしいことをしたい。

のに、全く興味がない彼女は、それを全て拒否する。
手を繋ぐことも、抱きしめることも。まぁ、今は手を繋げるまでレベルアップしましたが。

だから、なんで俺と付き合っているのか わからなくなることがよくある。



「A、手」



俺は左手をAの前に差し出す。
Aは、何秒か俺の手を見つめた後、右手に持っていたスマホを左手に持ち替えて 手を繋いだ。



「こっちの方が暖かいでしょ？」

『ん、』



ああ、また反応が薄い。

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