俺はもう「好き」って言わない【赤葦京治】

「好き」って言わない ページ4

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翌日 放課後



「ごめん、お待たせ」

『ん、だいじょーぶ』



帰り道。いつも俺から手を繋ぐけれど、もう俺から「繋ごう」と言わない。

女子はリードされる方が好きなのかもしれないけど、今はそんなのどうでもいい。
たまには、Aから言ってきて欲しいのだ。



「今日も寒いね」

『うん』



俺に相槌しながら、Aの目線はスマホに。
ああ、たまには俺の目を見てよ、A。

あまりにも寒かったのか。Aはスマホを持ってない方の手に、自分の息を吹きかけていた。
そんな彼女の鼻の頭は、少し赤くなっていた。



「そんな寒い？」

『うん』

「へぇ〜」

『京治、ほっぺ真っ赤だよ』



Aと、目が合う。



「……そう？」

『うん』



でもまた、すぐにスマホに目が移るA。
でも、少しいつもと違った。



「……！」



Aが、俺の服の裾を少し引っ張った。
弱々しく。

…………え？



「ど、どうしたのA……？」

『べ、別にっ。なんでもない』



待って。普通に嬉しい。

口では言ってないけれど、Aが 自分の意思でやってくれたと思うと、嬉しくて口元が緩む。

ああ、手を繋ぎたい。なんなら抱き締めたい。けど、我慢我慢。
ここで手を繋いだら、なんだか負けな気がして。

でも目の前はもうAの家の前で。



「着いたね。じゃあまた明日 ばいばいA」

『け、京治……っ！』

「どうしたの？」



ゆっくりと、Aの方を向く。



『京治は、私のどこが好きなの……？』

「……わからない」

『……そっか、』





「わからないくらい、ありすぎて」

『……！なんで、なんでそういうこと言うの……っ』

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