The Prince of TENNIS〜恋の常勝方程式［立海大附属中学校編］〜

柳蓮二との恋 episode2 ページ19

あれからそのまま寝てしまった私は、予鈴のチャイムで目を覚ました。

すでに中庭には誰もおらず、私は弁当箱とクッキーの袋を持つと、玄関に向かって走り出した。

下駄箱で上靴に履き替え階段をいっきに駆け上がると、I組から自分のクラスA組までの直線コース、約80mを猛ダッシュした私はA組のドアを勢いよく開け飛び込んだ。

教壇に立つ先生とクラスの皆が驚きこちらを見る中、その場に立ち尽くし肩で息をする私に「騒がしいぞ吉野、さっさと席に着かんか！」と一喝する真田君を軽く睨みながら自分の席に着くと同時に、授業開始のチャイムが鳴った。

「それじゃあ、授業を始めるぞ！」

先生の声を聞きながら机から数学の教科書とノートを取り出すと、私は黒板を見た。

スラスラと黒板を埋めるいくつもの数式をノートに写し、先生が出した計算問題も早々に解き終えた私は、窓に広がる青空を見つめながらシャープペンをクルクルと回していると、突然、隣の席の柳生君に声をかけられた。

柳生:「もしや吉野さん、もう計算を終えたのですか？」
A:「うん、私、数学だけは得意なんだ、って言っても、少しだけ計算が皆より早いだけなんだけどね」
柳生:「何をおっしゃいます、先日の実力テストにおいて最後の難問を解き、満点を取ったのは吉野さんだけです、これは十分に自信を持って然るべきですよ」
A:「ありがとう！柳生君にそう言って貰えるなんて凄く嬉しい」

学年トップクラスの柳生君に褒められ気分を良くした私は、調子に乗って彼との話に花を咲かせていると、いつのまにか私達の前に先生が立っていた。

「楽しそうだな柳生、吉野、そんなお前達には黒板の問題を解いてもらおう」

クラスの皆にクスクス笑われながら問題を解き終えると、タイミングよく授業終了のチャイムが鳴った。

「流石だなお前達、それじゃあ、今日はここまで」

そう言って教室を出て行く先生を見送ると、不意に視線を感じたため見上げると、そこには腕を組み仁王立ちの真田君がいた。

真田:「全く、柳生も吉野もたるんどる！」

前々から喝を入れる真田君に妙な親近感を感じていた私は、この時、ついに気付いた。

真田君の言葉使いや彼が人を叱る仕草は、離れて暮らす祖父にそっくりなのだ。

A:「真田君」
真田:「何だ吉野？」
A:「おじいちゃんって呼んでもいい？」
真田:「吉野！貴様という奴は！！」

必死に笑を堪える柳生君の隣で私は暫くの間、真田君に叱られ続けた。

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