【アルスマグナ】微炭酸の唇を【泉奏】

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それは暑い夏の日の話。

2年A組担任、そしてダンス部顧問の九瓏ケントは涼しい職員室の自分のデスクに向かっていた。


「っぁー、冷房最高」


知らない間にそんな声が漏れてしまう。

お昼のニュースでは、最高気温到達、この10年間の内最も暑い夏。などと言われていた。

今は夏休み最後の部活終わり。

元々夏休みも部活をするダンス部ではあるが、1日練習は全くない。

しかも、職員室には誰もいない。

華京院響先生は吹奏楽部の1日練習。

その他の先生は部活じたいが今日はないのだ。


「今日は泉も汗かいてたもんなぁ」


彼はデスクの上に追いたアイスコーヒーに手を伸ばしながらぼんやりとそんな事を思い出した。

そこへやってくる、静かな足音。


「失礼します」


透き通った声。

彼はドアに視線を動かしたとき、目を見開いた。


「九瓏ケント先生に用があってきました。入ってもいいですか？」

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