手と手 ページ50
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廉「ここで勝利のこと待ってた。……覚えてる？」
小学校の門の前で立ち止まった廉が振り返る
一瞬、私の記憶の中の小さかった頃の廉の姿が浮かんだ
「うん……覚えてるよ」
そう言って廉の隣に立ってみると
廉は私の手をそっと握った
確かあの時もこうやって手を繋いでいたんだ
廉「俺たちが学校に行きたいって言ったんだよな」
「うん……」
廉「みんなはダメやって言ったけど、勝利は連れてってくれるって言って」
「うん……内緒で連れて来てくれたんだよね。それで、勝利が中を見に行って…」
廉とあの日の記憶を話し始めるうちに
だんだんと鮮明にあの日のことを思い出していく
まるで小さな私たちがそこにいるかのように
ひとつひとつ、確かに
廉「Aと手繋いでてって勝利に言われた。なのに俺は…」
そう言って、繋いでいた手がぎゅっと強く握られた
私もぎゅっとその手を握り返す
「私も………同じこと言われたの。なのに…」
どうして勝利の言う通りに出来なかったんだろう
どうしてこの手を離してしまったんだろう
繋いだ手から伝わるお互いのそんな思い
きっと廉も同じ
廉「……俺、Aのことも勝利のことも助けられなかった。二人が倒れてるのに、助けも呼べなかった」
「廉……」
そうだよね
廉は目の前で私たちの事故を見てしまったんだ
びっくりしたよね
すごく、怖かったよね…
廉「俺ショックでしばらく口きけなくなってな。親が心配してここから離れた方がいいって、それで大阪に引っ越すことになったんや」
「そうだったんだ…」
廉「ごめんな」
「え、なんで…？」
廉「Aのそばに居てやれなかった。Aが苦しんでるのも、知らなかった」
「そんなの……しょうがないよ」
廉「いや、俺ずっと逃げてたんや。こっち戻って来てからもAがいつ思い出すかって怖かった。………ずるいやろ」
廉は何も悪くなんかないのに
ずっと苦しかったんだね
だって
あの時、周りは誰も私たちを責めなかった
.
終わり
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セナ(プロフ) - 涙が溢れてしまいました！是非更新してほしいです。続きが気になります！ (2020年7月12日 21時) (
レス) id: 34e0f9de8b (このIDを非表示/違反報告)
セナ(プロフ) - 涙が溢れてしまいました！是非更新してほしいです。続きが気になります！ (2020年7月12日 21時) (レス) id: 34e0f9de8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 続き気になります！更新頑張ってください！ (2019年4月4日 20時) (レス) id: d4a9f28577 (このIDを非表示/違反報告)
きのん。(プロフ) - 更新されないんですか？？(´；ω；`)続きが気になります... (2019年3月8日 10時) (レス) id: af7a87634d (このIDを非表示/違反報告)
rrrr(プロフ) - 続きが気になります！もう更新はされないのでしょうか？ (2018年9月23日 2時) (レス) id: 4886ac9ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たかりな | 作成日時：2017年5月27日 9時
