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そう言って笑った知念の顔はどこまでも無邪気だった。
同じ場所で見せた、ひれ伏してしまいそうなほどに神聖な色気と、それとは対極の、無垢な笑顔の倒錯。


知念から目を離すことができない俺に比べ、既にマイペース全開の彼はまた静かに目を閉じる。だけど今度は、常から上がった口角を更に少し引き上げた、俺の良く知る愛らしい横顔だった。


楽しそうにする知念に、不意に思い出したのは「僕片頭痛持ちで、雨の日はよく痛むの」と困ったように笑った顔だった。



「ちぃ、今日は頭痛は大丈夫なの?」

少し驚いた表情で、よく覚えてたね、と言った知念はどこか嬉しそうに見える。


「うーん、痛い?かな」

「なんだよ、それ」

「涼介がいるとなんか平気な気がして、よく分かんないや」


わかんない、なんて嘘だろう。もし痛くないなら知念は「痛くない」とはっきり言うはずだから。それなのに、俺の方を見てにこりと笑う知念。

無性に、守りたいと思った。

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作者名:ほっぺ | 作成日時:2020年7月28日 1時

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