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「あ、けんじろくんちょっと待って!」
まだなんかあるんかい…隆二…Aちゃんの呼び掛けに病室のトビラに掛けていた手を止める。
「おみくんに会う前にトイレ!」
そう言って個室奥にあるトイレに入ったりゅ…Aちゃんにおーおー行ってこいと声を掛けてトビラを開けた。
そこには顔を真っ青にして蹲るおみちゃんがいて、俺の顔を見上げて「隆二…」と泣いた。
「隆二は大丈夫だから、とりあえず落ち着い…」
「ぎゃーーーー!!」
へ?
突然響く隆二の叫び声に俺とおみが慌てて個室へ戻る…そこには、ズボンを足首まで下ろして、パンツいっちょで、
顔を真っ赤にしながら、床に座り込んだ…隆二…
「隆二っ、大丈夫??え?どうしたの??」
慌てて駆け寄るおみちゃんに、隆二はまた目を丸くして…そして…
「隆二さんの…隆二さん…」
と呟いて泣いた。
そりゃ、そうやなぁ。
トイレ行ったら、隆二さんの隆二さんが…
こんにちは!って…するんだよなぁ。
、
「で、要するにAちゃんの幽霊が隆二に乗り移っちゃってるって訳?」
あのあと無事にトイレを済ますことが出来たAちゃん…そして隆二とAちゃんの状況を臣に説明するとそれはまるでビックリするくらいにすんなり受け入れるもんだから、
けんちゃんほんと心配になっちゃう、ボーカルがバカすぎて!
「変な事になっちゃってほんとすみません…」
Aちゃんがまだ緊張してるのか顔を赤くしながら臣にそう言うと、臣はとびきりの優しい笑顔を向けてAちゃんの(まぁ、見た目は隆二でしかないけどな?!)頭を撫でた。
「大丈夫だよ。大変だったね。」
神様よ…俺は何を見せられとんねん!
臣が優しく隆二の頭を撫でて!隆二はゆでダコみたいに顔赤くして照れてんで!!
ほんま…勘弁してくれ…もう泣きそう。
「そういえば…今日新しいアルバム発売じゃないですか?私予約してて今日届くの楽しみにしてたのに…」
「え、それかわいそうだね…大丈夫!ちゃんとAちゃんにあげるね。」
「え!ほんとですか??嬉しい…えへへ♡」
………イチャイチャすんなや!!
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作者名:kyle | 作成日時:2018年3月11日 11時