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思わず私は、隣にいる彼の方へ視線を向けてしまう。
彼は「何？」って感じで、視線で訴えかけてくるけど、
『うちの母の話では、つい最近、瑠璃子様が大奥様を訪ねて来られたらしくて
それまで萎れて元気のなかった大奥様が、その来訪以来、元気を取り戻したとかで』
その話を聞いて、彼の目をずっと見ていられなくなった。
…心当たりは、ある。
あのギリシャの別荘でなら、その可能性はあるわけだから。
電話を切ったあと、
「何だって？」
彼がそう聞いてくるけど、うまく答えられないでいた。
「帰ってから話す」
「何で？」
「今ここでする話じゃなさそうだから」
彼の目を見ることも出来ず、ぎこちなく言葉を返した。
急に鼓動が早くなって困る。
彼はそんなこと絶対にしないと信じていながらも、
可能性はあるわけだから、こんなに動揺してるんだと思う。
タクシーに乗ってる間も、私達の間には会話なんてなく。
私は途中から寝たふりを決め込んでいたし、
彼はそんな私の様子に気付いていながら、気付かないふりでいてくれた。
家に帰ってきてすぐ、私達はトランクを玄関に放置して、リビングで向かい合わせに座っていた。
いつもなら隣り合わせに座るはずなのに。
｢さっきの電話のことだけど…｣
そう言いかけて私は、やっぱり彼の目を見れないでいた。
心臓は嫌な感じにうるさいし、心做しか手も震えてきた。
｢瑠璃子さんが…、妊娠したんだって」
さすがの彼も驚いたのか、相槌すら返ってこない。
｢若葉が産婦人科で瑠璃子さんに会ったらしくて
瑠璃子さんは妊娠3ヶ月で、お腹の子は渉さんの子だって言ってるみたいなんだけど
心当たり…、ある？」
やっとの思いでそう訊ねたら、彼は神妙な面持ちで、こう答えた。
｢…ある」
あるんだ…、やっぱり。
体中に一気に重りを付けられたみたいに、体が重くなる。
｢一日だけ、記憶のない夜があって
あそこでは、ほとんど食事はとらなかったんだけど
でも、その日の夜はコーヒーにだけ手をつけて…」
｢まさか、薬が入ってたとか？」
｢多分ね
コーヒーを飲んでしばらくしたら、急に眠くなって
そこから全く記憶がないから」
これは不可抗力だ。
彼が望んでしたことじゃない。
それはわかってるけど…、生理的に無理だった。
｢ごめん
今夜は１人で寝ていい？」
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りたわかめ(プロフ) - keitoさん» コメントも更新も遅くて申し訳ございません(T_T)一年も育休なんて、今の時代はありえないですよね。新しい慣習を作るという意味で一年もアリなんじゃないかと思いましてw (2021年1月3日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - keitoさん» コメントも更新も遅くて申し訳ございません(T_T)一年も育休なんて、今の時代はありえないですよね。新しい慣習を作るという意味で一年もアリなんじゃないかと思いましてw (2021年1月3日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» コメントも更新も遅くて申し訳ございません。またのんびり更新していきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年1月3日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 待ってました！てか出遅れました。ふふ、実際にパパが１年育休取ったら、気まずくて逆に雰囲気悪くなりそうですね(￣ー￣)ﾆﾔﾘ (2020年9月8日 19時) (レス) id: 2c3e1bcaf4 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 待ってましたー！！！唇とマーマレード、すごく好きです(；A；)何回読んだことか！！また更新待ってます〜〜 (2020年9月7日 23時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りたわかめ
| 作成日時：2019年10月12日 23時
