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彼は荷ほどきを終えると、私をショッピングモールへ連れて行ってくれた。
服や雑貨とかゆっくり見て回りたいのに、彼はまっすぐにスーパーマーケットへ行ってしまう。
コストコみたいな大きなカートを2人で押しながら、彼は日本にいる時と同じように果物や野菜をひとつひとつ手にとっては、吟味してカートへ入れて行く。
「見て、牛乳やジュースも大きいんだけど」
なのに彼は顔色ひとつ変えずに、
「そんなもんなんじゃないの?海外だし」
とか言いながら、真剣に食材を選び続ける。
とにかく何もかも新鮮で仕方なくて、私が次々と見慣れないお菓子とかをカートに入れて行く様子を、
彼は横目でチラリと見ながら、知らんぷりをしてくれていた。
部屋に帰って来て、早速夕食作りに取り掛かる彼の周りをウロチョロしながら、
「ねえ、リラックスできてる?
外食でもいいんだよ」
とか言ってるのに彼は、私にしかわからないほど薄く微笑みながらスルーしてくる。
「Aはのんびりしてな
俺はじっとしてるより、こうして知らない国で知らない食材を見つけたり、料理したりすんのが楽しくて仕方ないから」
…変わってるね。
私と彼は違い過ぎる。
だからこそ、うまくいってるのかな。
辺りはだんだん薄暗くなっていき、私達はウッドデッキでディナーを楽しみながら、夕陽が海に沈んでいく様子を眺めていた。
「贅沢だね」
私がうっとりと海を眺めている向かいで、彼は、
「やっぱこの海老買ってよかった
新鮮だし、日本で買うのよりかなり安かった」
とか、全然景観とかには興味なさげ。
「渉さんは、こっちに来てよかったと思ってる?」
そう聞きたくなるほど、私達の見てるものは違い過ぎる。
「思ってる
コンドミニアムっていいね
現地の食材を自宅で好きなように調理できるとか」
なるほど、彼はそっちで楽しんじゃってるわけだ。
やっぱり私達はまるで違う。
すっかり日が暮れてしまうと、辺りは一面暗闇になってしまった。
離れた場所にある他のコンドミニアムの灯りが、ぽつぽつ見える程度で、あとは真っ暗。
そんな夜景を眺めながら、私はウッドデッキで、月明かりに照らされてる海を眺めているのに、
彼はさっきから明日の料理の仕込みをしながら、パンまで焼き始めている。
「いいのが売ってたから
焼いたらいいだけのクロワッサン
今から焼くから食べてみない?」
···って、彼はどこまでもマイペースだ。
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まいまい(プロフ) - 渉さん、無事で良かった〜2人には幸せでいて欲しいので、この展開は嬉しいです。子供出来てたらなお嬉しいなぁ…それにしても渉さん、どんどん成長しますね! (2021年5月6日 14時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - Haruさん» まあまあ、焦るな焦るな。まだ妊娠とはわからんで。生理の有無を聞いただけですがな♪ (2019年9月29日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - えぇぇぇええーーー??ここへ来ての妊娠?!穏やかにニマニマ読んでたのに一気にそわそわしだしたやないかっ。 (2019年9月29日 22時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひとみKandHさん» 本当に!!ミラコでラブラブできるのかどうか(/ω\*)横尾さんとディズニーシーは雰囲気的に合うと思うんですよね♪ (2019年9月19日 18時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみKandH(プロフ) - こんにちは!横尾さんとインパなんて(^^)待ち時間も絶対楽しいですよね!ミラコでのらぶらぶシーンも楽しみにしています! (2019年9月7日 11時) (レス) id: d7aec2014e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2019年7月31日 0時