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彼が密かに溜息をついたのを私は見逃さなかった。
やっぱり、社長業って忙しいんだね。
「もしかしてドイツの視察研修？」
「そう」
「あの枠、２人じゃなかった？」
「いつもは所長と誰かなんだけどね、今回は若い者が行ってよしってことになったから、
私と太輔が行くことになったんだ」
それきり、彼はむっつり黙り込んでしまう。
嫌だった？太輔と２人で海外とか。
でも、これは仕事じゃん。
それに私と太輔がどうにかなるなんて、万に一つもありえないよ。
いつものようにスーパーで降ろしてもらう私達を、彼女は不思議そうに眺めていた。
だけど、いつの間にか一緒に降りて来て、
「奥様、少しだけお時間いただけますか？」
と、強引に私と彼を引き離すようにして、スーパーの近くの鄙びた喫茶店へ連れ込んだ。
「社長の業務の件なんですが…。」
席に着いてすぐに、彼女は重苦しい表情でタブレットを差し出してくる。
スケジュールアプリにはびっしりと彼のスケジュールが書き込まれてあり、
「出張や、夜の会食・接待など、全て断られてるんですが
…これは、奥様の指示ですか？」
「私は何も指示なんてしてないし、出張や会食のことは何も知らないんだけど」
「そうですか…」
彼女はタブレットの電源を落とすと、大げさに溜息をついてみせる。
「正直、困ってます
本社の会議も欠席が多くて、本社の方からもクレームが来てまして」
まるで私のせいだと言わんばかりの口ぶりじゃん。
本社から来た方みたいだから、どうも私に対しての扱いもよろしくない。
「奥様から、社長に言ってくださいませんか？
どうも奥様の為に、終業時間以外の業務を断っているようなので」
帰宅後、キッチンで食事の支度をしている彼の背中を見て、不意に甘えるように抱きついてしまった。
自分でも、何でそんなことしたのかはよくわからない。
だけど、彼の背中が儚げに思えたから。
「秘書の人、困ってたよ」
彼の肩先に頬を押し付けてそう言えば、彼は何も答えてくれない。
火を止めて、じっと私に抱かれてるだけ。
「出張とか接待とか、断ってたの？」
「…必要のあるものは行ってる」
「嘘つき
最近、全然出張なんか行ってないじゃん
いつも、まっすぐ帰るし」
「だめ？」
「だめ
私がそうさせてるって思われてるみたいだよ」
「…今度、ちゃんと言っとく」
頬越しの彼の体温があまりに暖かくて、私はどうしてもこの場所から離れたくなくなった。
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わかめ(プロフ) - Mayさん» 不器用な感じが出ててよかったです(/ω＼*)そして、新キャラ加入しました(T△T) (2019年2月10日 0時) (
レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
May(プロフ) - 切ないです、、なんて不器用な二人！秘書の人嫌な感じだけど大丈夫ですかね(>_<) (2019年2月8日 7時) (レス) id: 9190cd750e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - かんこさん» 実は電話番号が聞きたかったんですねーwしかも聞くタイミングを完全に失ってたというwwwぼちぼち更新してますのでまた読んでやってくださいm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆなさん» コミュ障！まさにそんな感じです(/ω＼*)渉さんが可愛い人に変わったとか、ありがとうございますm(_ _)mまた読んでくださるとうれしいです♪ (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 華子さん» はじめまして！コメントありがとうございますm(_ _)m不器用な渉さんが今後成長していけるのか、また読んでくださるとうれしいですm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年12月19日 23時
