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そんな彼を見てるだけで、私も苦しくなってくる。
こんな辛い思いをさせたまま、眠らせるのはかわいそうだとか思ってしまう私は、
相当、お人好しなんだと思う。
「もし私の誕生日を知ってたら、何してくれてた?」
「…知ってたら、ちゃんと祝ってたよ」
「どんな風に?」
「ケーキを焼いて、ご馳走を用意する」
「それから?」
「プレゼントも用意しとく」
「何をくれる?」
「…Aはいつも体が冷たいから、暖かい部屋着と靴下かな」
そんな話をしているだけで、彼の声は少しずつ元気が戻っていく。
「金曜日の夜からワインとか一緒に飲んで、日付が変わったら一番にAに「おめでとう」って言う」
「うん、いいんじゃない?」
「昼間はどこかAの喜ぶ場所へ遊びに行って、家でごちそうを作ってもいいし、どこか美味しいレストランで食事をしてもいいかも」
何だ、出来るんじゃん。
ちゃんとわかってんじゃん。
「合格
じゃあ、来年はそれをしてくれる?」
彼の方へ体を向けて、やんわりと抱きついたら、
彼は安心したかのように抱き留めてくれる。
「もう忘れよ?
たかが誕生日のことで、そこまで反省しなくていいよ」
「でもAはどんな気持ちだった?
俺に誕生日を無視されて」
そう聞かれて、正直ドキッとした。
言わないでおくけどね。
本当は彼を試してたなんてこと。
「寂しかったけど、意外に平気だった」
「何で?」
「覚悟は出来てたから
渉さんは私の誕生日を知らないんだろうな、って思ってたし」
そう言ったら、また彼は浅く溜息をつく。
大丈夫、あなたはただ、気が付かないだけなんだよ。
「俺も本当は、誕生日とかにあまりこだわりがなくて
実家でも、誕生日に特別なことをしてもらった記憶がないし」
「プレゼントは?」
「ない」
「誕生日パーティやケーキも?」
「ないよ」
「おめでとうくらいは言ってもらったよね?」
「むしろ、産んでやったことに感謝しろって言われてた」
…想像を絶するとはこのことだ。
幼少期に誕生日を祝われてなかった彼が、誕生日に無頓着なのは仕方がないのかもね。
「A」
しばらくの沈黙の後、彼は神妙な声で私の名前を呼んだ。
「これからどうしたい?」
「どうしたいって?」
「俺とこんな結婚生活を送り続けたい?
それとも、前みたいに離れていた方がいい?」
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わかめ(プロフ) - Mayさん» 不器用な感じが出ててよかったです(/ω\*)そして、新キャラ加入しました(T△T) (2019年2月10日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
May(プロフ) - 切ないです、、なんて不器用な二人!秘書の人嫌な感じだけど大丈夫ですかね(>_<) (2019年2月8日 7時) (レス) id: 9190cd750e (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - かんこさん» 実は電話番号が聞きたかったんですねーwしかも聞くタイミングを完全に失ってたというwwwぼちぼち更新してますのでまた読んでやってくださいm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆなさん» コミュ障!まさにそんな感じです(/ω\*)渉さんが可愛い人に変わったとか、ありがとうございますm(_ _)mまた読んでくださるとうれしいです♪ (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 華子さん» はじめまして!コメントありがとうございますm(_ _)m不器用な渉さんが今後成長していけるのか、また読んでくださるとうれしいですm(_ _)m (2019年1月19日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年12月19日 23時