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チェックアウトの時間を過ぎても、無理を言って私達はホテルのロビーに居座らせてもらっていた。
彼を待っている間にも、私はどんどん憂鬱になっていく。
「何で待たなきゃいけないの？」
だってここまで来るのに、電車で２時間以上かかったんだよ？
彼がどんな交通手段で来るのかは知らないけど、こうして待ち続けるのが苦痛で仕方なかった。
だけど２時間もかからないうちに、彼は現れた。
ロビーにいる私達を見つけて、まっすぐにこちらに歩いて来る彼の姿を見て、私は急に怖くなった。
私、この人のことが怖いのかな。
何で怖いんだろう。
それがわかんないから、怖いのかも。
いつもなら自信に満ちてる彼が、今日はいつになく頼りなげに見えて。
目の前に立ちはだかるくせに、彼は何も言ってこない。
きっと、何て言っていいのか困ってんだよね？
私も急に訪ねてきた彼に、どう声をかけていいのか迷っていた。
「…じゃあ、私はこれで」
若葉が急に席を立ったことで、ようやく私は口を開く。
「若葉も一緒にいてよ」
「いえ、こういう話し合いはお２人でなさった方がよろしいかと思います
私は一足先に戻ります」
そう言って深々と頭を下げては、若葉はこっそりと私に耳打ちしてきた。
「一人旅なさる時は、私にも声をかけてください」
若葉が帰ってすぐ、彼は私のキャリーケースに手を掛けた。
「とりあえず、行こう
ここじゃ話もできないし」
「何を話すの？」
その質問に何も答えない彼は、勝手にキャリーケースを持ってホテルを出て行ってしまう。
そういうとこだよ。
自分勝手で、いつも私にそれを押し付けてくる。
仕方なく彼の後をついて行くと、結婚式の帰りに乗せてくれたあの車が入り口に横付けされていた。
これが彼の車なんだ…。
彼はトランクを開けると、私のキャリーケースを押し込んでいた。
あれ…、彼のトランクも一緒に入ってる。
まさか帰国してその足で、ここに来たってこと？
待って、確か空港へは送迎車で向かったはず。
ということは、一旦部屋に帰って、その足でここに来たのかな。
「助手席に乗って」
本当は後部座席にでも乗ってしまいたかったけど、仕方なく助手席に乗り込んだ。
ドリンクホルダーには、太輔のように暖かいコーヒーなんて気の利いたものは置いていなかったけど、
外国産の見たこともないチョコレートバーが代わりに差し込んであった。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
