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ギリシャ出発の日、
私の心は、意外と澄み切っていた。
結婚式が終わったら、ちゃんと伝えよう。
そう思ったらもう、これから切腹をする武士のように覚悟は決まっていた。
初めて乗るファーストクラスは、運のいいことに個室になるシートで、彼の顔を見ることもなくて楽だったけど、
乗り継ぎが2回もあるから、フライトに丸一日かかり、サントリーニ島の別荘に着いたのは、朝の9時になっていた。
「ゲストルームは幾つかあるから、Aは好きな部屋を使ってくれていいから」
彼とは道中で少しだけ会話はしたけど、全て業務連絡的なことばかりで。
正直、私達はもう終わってる。
まあ、始まってもないけど。
私が選んだのは1階の裏口近くにある部屋。
彼はこの別荘に自分の部屋があるんだって。
「結婚式は11時からだから
それまでには、準備しておいて
そろそろメイドさんも来ると思うし」
…メイドさん?
ここでも、若葉みたいな人がいるわけ?
…まずいな。
途中で新妻が入れ替わるとか、すぐに横尾家に筒抜けになっちゃいそう。
しばらくして、外人のメイドさん2人が
何だこれ…。
鏡に映った姿に自分で驚く。
海外風のメイクを施され、ドレスを着た私は完全に別人だ。
だって、迎えに来てくれた彼でさえ驚いてるくらいだから。
結婚式は滞りなく行われ、
チャペルの白と抜けるような青空と海の青が、異次元のように美しかったけど、
そんなこと私にはどうでもよかった。
早く、彼と話をしないと。
だってさっき、瑠璃子さんから、
「空港に着きました」
って、連絡をもらったばかりだから。
別荘に戻ってすぐに、メイクを直して帰り支度を始めた。
まだこの別荘に来て、1泊もしてないけど。
さっきから心臓がはち切れそうなのを我慢しながら、彼の部屋をノックした。
「…はい」
少し上擦った声が聞こえて、
ネクタイを外して、シャツのボタンをだらしなく開けた彼が顔を覗かせた。
もしかして寝てた?
なら、今がチャンスなんじゃないかな。
「ちょっと話があるんだけど、いいかな」
そう言って、1階のリビングに彼を連れ出した。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます!!今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに!なんかその2人、しっくりきますよね!言われてみればって感じで納得です! (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω\) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω`*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年11月16日 8時