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きっと彼は、私に罪悪感を抱いてるんだと思う。
私のことを好きになれないこととか、お義母様のこととか、いろいろと。
もう…、どうしたらいいんだろうな。
この結婚生活で私は、迷ってばかりいる。
「そういえば、私の趣味って読書だったっけ？」
「ああ…、寝室の本棚に並んでたから」
「見たの？」
「この間、Aが酔い潰れてた時に
暇だったし
本棚を見ると、その人の性格がわかるっていうしね」
「どう思った？
ミステリーばかりの本棚を見て
お義母様と同じ感想だったんじゃないの？」
嫌味でそう言ったのに、彼はまた緩く微笑む。
私に嫌味を言われて喜ぶなんて、どんな趣味してんの？
「あれはうちの母親がどうかしてるから
古典文学が好きとか初耳だわ
あの人が本を読んでるのなんて見たことないし」
若葉はお義母様のことを、狭い世界の中で生きている人って言ってたけど、本当にそうなんだと思う。
甘美で残酷な外の社会を知らないまま、年老いていくなんて不憫だけど逆にうらやましくも思える。
「俺はミステリーとか読まないから、逆に読んでみたいって思ったけど
今度貸してよ」
きっと社交辞令なんだと思ってた。
だって、「今度」が付いたじゃん。
「今度」とか「また」が付く約束って、大概叶わないものから。
なのに彼は不意に席を立つと、勝手に寝室に入っては、
本当に本棚から数冊選んで、食卓に持ち帰ってきた。
「これ貸して」
「いいけど…、読む時間とかあるの？」
「寝る前に活字を読まないと眠れないから」
なんとなくわかるかも…。
私もそうしないと眠れない性質だから。
「あと、さっき寝室の引き出しを見たんだけど
もしかしてお金、使ってない？」
「何で勝手に見るわけ？」
「だってここ、俺の家だし」
「住んでないのに？」
「住んでるよ
あのキッチンの奥のドアを取っ払えば、一つの部屋になるんだし」
…取っ払うつもりなんかないくせに。
この人と言い合いになると、上から被せてくるみたいに言い返してくるから本当に疲れる。
「もしかしてカードも使ってないとか？」
「使ってない
欲しいものは自分の給料で買うから」
「Aくらいの歳の女の子って、ブランド物の服や雑貨に興味があるんじゃないの？」
「私はそうじゃないから」
なのに彼は不思議そうに、じっと私を見つめるだけ。
「何？ブランドで全身飾り立てた方がよかった？
その方が横尾家にふさわしい？」
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
