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「人のこと好きになれないとか、どんな生き方してきたわけ？あの人」
そんな言葉をつい洩らしてしまえる相手は、一人しかいない。
「まあ、渉様の言いそうなことですよね」
私達の今の状況を全て知っているのは、やっぱり彼女しかいないわけで。
土曜の昼下がり、何故か私達はリビングでお茶なんか飲んでいる。
「確かに、渉様が恋愛に溺れてる姿は見たことがありません
彼女はいらしたみたいですが、家に連れてきたこともなかったですし」
休憩時間の彼女は、さし向かいで茶菓子を食べながら、そんな私の愚痴を聞いてくれている。
なんだかんだで、彼女にはほぼ全ての家事をしてもらうことになり、
「暇ですから」
とか言いながら、彼女は土曜日も律儀に出勤してくる。
「２人で過ごせる機会でもあれば、仲良くなれると思うんですけどね」
２人で過ごす機会なんて、まずないし、
今のところ、出勤の車内と、偶然社内で会った時に挨拶程度に会話を交わす程度で。
とても仲良くなれるようには感じない。
むしろ永遠にこのままの状態が、どちらかが死ぬまで繰り広げられると思うんだ。
「クリスマスとかどうですか？
２人でしっぽりディナーとか
私、フルコースとかパーティー料理は得意なんですよ。」
彼女の料理は確かに美味しい。
でもそれ以前に、クリスマスを彼が一緒に過ごしてくれるなんて、まずありえない。
「まさか、この間のお渡りがただの酔っ払いの介抱だったとは」
「お渡りなんて、あるわけないじゃん」
「そうですか？
そのうち周りから、子供の誕生も期待されるでしょうし、渉様も子孫を残す意思はあると思われますが」
子孫を残す意思って…。
それだけのために、する行為じゃないじゃん？
「まあ、ドアひとつ隔てた向こうの家には、食べ頃の娘がいるんですから
しかもその娘に手を付けても咎められないんですよ？
私なら、さっさと手を出しちゃいますけどね」
「そんなもん？」
「そんなもんですよ
…さて、そろそろ夕食の買い出しに出掛けてきますが、
奥様は今夜は何が食べたいですか？」
「…私もついて行っていい？
買い出し」
「いいですけど…
横尾家の本家では、奥様が使用人と一緒にスーパーマーケットなんて、ありえないことですけど」
彼女は驚いてるけど、私は本当にただの庶民の娘だから。
たまたま親が会社を経営してただけで、高校まで普通に公立だったし。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
