9.yb ページ10
「おはようございますっ」
よし、今日も元気な挨拶。
俺と光の間には無かった朝の挨拶という習慣。
今ではもうすっかり慣れてしまって、毎朝の風物詩と化している。
「おはよう、雄也。今日は晴れて良かったな。」
雄也の柔らかい長髪をふわりと撫でてやると、嬉しそうに目を細めて笑う。
俺は雄也のこの表情が好きなんだ。
満足そうな、それでいて多少憂いを帯びたような、
年甲斐無く綺麗な顔立ちをしているからだろうか、雄也が幼い笑顔を見せてくれるとこちらまで嬉しくなる。
「うん、お日様出てるね。」
お日様...!
可愛いじゃないかーっ!!
「雄也、おはよ。風邪ひかなかったか?」
「んー、平気だったよ。」
今度は光の元へと駆け寄り、頬で遊ばれる。
「そうか、良かった。薮なんて昔、土砂降りなのに面倒だからって傘を持たずに登下校してしょっちゅう熱出していたからなぁ。」
「俺は両手が空いていないと嫌なんだよ。」
「はいはい。そろそろ俺は食材の仕込みしてくるね。」
「はいよ。...じゃあ俺達も始めるか。」
「うん!」
キラキラと輝く瞳で応えると、準備を始めるべく店の奥へと消えて行った。
元気だな、雄也。
若いって素晴らしい。
アラサーの俺達には辛い仕事もあるが、雄也はいつだって元気にこなす。
...考えてみれば、雄也だって普通に生まれていれば今頃そこら辺の高校生と同じように生きていたのだろう。
勉強や部活に精を出し、友人関係や進路について思い悩んで。
普通に制服を着て、普通に恋愛をして。
...どうして雄也なのだろう。
どうしてこの子だけ、それすらも叶わないのだろう。
雄也がそれを望んでいるかなんて俺にはわからないけれど、それでもどうしてもそう思わずにはいられない。
「薮、お前も準備始めろよ。」
「あ...ぼーっとしてた。悪ぃ。」
慌てて雄也の後を追う。
思い切り開け放ったドアの奥、雄也は白のシャツに着替えるべく上の服を脱ぎ去った直後だったらしい。
健康そうな小麦肌に、官能的な鎖骨。
丸い肩に、吸い付きたくなる程に綺麗な腕。
その全てに刻まれた、美しいその絵画は...
傷?
痣?
それとも印?
それは...その絵画は、客に抱かれた時のもの?
それにしては生々しすぎやしないか。
最近のもの...?
だとしたら誰だ。
誰なんだ、雄也を傷付けたのは。
可能性として一番大きいのは...
「薮さん...?」
「雄也...それ、弟か...?」
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まなお(プロフ) - 蜂蜜色羽@最近同担に嫉妬を覚えてる。さん» そうですね、実際自分は兄弟で一番上なので、弟よりは兄目線が書きやすいので深いと言えば深い思いは込めているつもりですw今回はちょっとドロドロが過ぎましたね...wでも、こうやって物語の本質を見抜いてくださる方がいると心強いです!ありがとうございます!!! (2018年7月10日 23時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜色羽@最近同担に嫉妬を覚えてる。(プロフ) - もう本当...複雑ですね〜、“恋は”。世界には色んな、愛の形がありますよね。それが例え、醜くても純粋なものだとしても、その人を愛している事に変わりはない...お互いがそれを望んでいるなら、私は良いと思います。素敵なお話、ありがとうございました♪ (2018年7月10日 23時) (レス) id: 31b17e5fce (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜色羽@最近同担に嫉妬を覚えてる。(プロフ) - 完結おめでとうございますぅぅぅ!この作品も本当に、大好きでした!いつも思うのですが、まなお様の書かれる作品には、まなお様の深い思いが、込められているのではないかと...あ、これはあくまで、私的見解なので笑 気にしないで下さい笑 (2018年7月10日 23時) (レス) id: 31b17e5fce (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - ひかやぶ愛ingさん» そんなに!?wまぁ最近伊野ちゃん受けが多いからひかやぶ不足ってのは頷けるな。とりあえず期待しないで待っててねw (2018年7月9日 19時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかやぶ愛ing - やぁぁぁったぁぁぁぁぁ!!!!!ありがと!ひかやぶ(拝) (2018年7月9日 18時) (レス) id: 18cd2ba58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まなお | 作成日時:2018年5月22日 16時