We believe...

32.yb ページ33

｢ひか...落ち着いてっ｣


首元を攻め出した光を制止しようと試みる。


しかし光は止まるどころか、だんだんとエスカレートしていくようだ。


｢二股、するの？しないの？はっきりしてよ。｣


｢そんなの、できるわけ...っ｣


｢薮...まさかとは思うけど、雄也と今みたいなことしようだなんて思っていないよね？｣


｢はぁっ！？｣


｢雄也はまだ子供だよ。生まれ方以外はそこら辺の高校生と一緒。三十路手前の男が十代の男の子と行為に及ぶ...それ、普通に犯罪だからね。わかっているの？｣


｢...｣


...完全に盲点だった。


雄也からOKを貰えたら、即刻とは言わないけれど早い段階で手を出す気でいた。


...ダメじゃん。


大人びた顔立ちのせいで忘れていたけれど、雄也はまだ子供だった。


年齢差の大きい恋愛、ということになるのか...？


...いや、待て。


そんなことより、今はこの状況をどうにかするのが先だ。


考えるのは後。


｢...薮、どうせ毎晩のように雄也の妄想で欲の処理をしているんだろうけどさ。｣


...仰る通りで。


｢それもなかなかアウトに近いんじゃない？...ねぇ、薮。俺なら薮に寂しい思いさせないよ。毎晩ちゃんと抱いてあげる。一人でするなんて虚しいだけでしょう？だから俺がやってあげるよ。...その間は、俺のことを雄也だと思ってくれても構わない。『雄也』って呼んでくれて構わない。ね、好条件でしょ。｣


｢...違う。俺はこっち側じゃないっ！｣


｢薮はこんなに可愛いの。生粋のネコだよ。｣


｢二股なんて絶対にしない。光のことを雄也だと思うなんて、そんなことはできない。俺が好きなのは雄也だけなんだ。雄也が大人になるまで、俺はちゃんと待っていられるから。...だから放して。もうこんなこと...｣


｢...そっか。残念だね。｣


｢光...｣


わかってくれた...のか？


不意に光の体が離れて、俺は自由になる。


安心してベッドから降りようと思った、その時だった。


｢それなら...これでどうか、なっ！！｣


｢ぅわ...っ！？｣


一瞬、何が起こったのかわからなかった。


理解し始めた頃にはもう、俺の全身は水に濡れていて...。


光が手に持っているのは、あれは...バケツ？


どこからそんなものを！？


｢...ふふ、びっくりした？｣


｢何するんだよっ！！｣


｢しーっ。雄也が起きちゃうでしょう。...心配しなくていいよ。薮は黙って悶えてくれたらいいの。ね？体、すぐに熱くなるよ。いっぱい啼いてね、薮。｣

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