30.yb ページ31
雄也宅での出来事を、大雑把にではあるが光に説明した。
幸い、サッカー好きの俺は口頭での説明が得意な方だから助かった。
「...辛かっただろうな。」
「だろうなぁ。雄也に酷いことをしていたの、実の弟だぜ?それも双子の。本当に酷いと思う。」
「ぁ...いや、違う。弟の方。」
「裕翔くん...?」
「そっち。」
「どうして裕翔くんが辛いんだよ。」
「...弟くんは雄也のことが好きなんだろう、ラブの方で。なのに雄也は振り向いてくれないどころか、他の男の匂いをさせていたんだから。」
「他の男!?誰だよそれっ!」
「おめぇだよ、馬鹿。自覚ねぇのか。」
「何の話だよっ!!」
「思い出してみろよ、雄也の体の傷が増えていた日のこと。その前日の夜、小雨が降っていたから薮が雄也を車で送って行ったんじゃなかったか。」
「あ...っ」
「...なかなか辛いんだって、そういうの。」
「そうか...。」
そういう考え方もあったのか。
俺は雄也を庇う形で思考を展開させていたけれど、考えてみれば裕翔くんにだって裕翔くんなりの理由や言い分があったはずなんだ。
...危なかった。
危うく俺の中で裕翔くんが完全に悪者になるところだった。
「...でもなぁ。やっぱり兄弟の恋愛となると、壁は厚いと思うなぁ。」
「そうか?薮はそういうのに偏見があるわけ?」
「いや、恋愛は自由だと思うよ。年齢も性別も国籍も関係無い。だけど、元々の関係性によっては恋愛関係になりづらいと思うわけよ。」
「元々の関係性...?」
「例えば...まぁ、兄弟とか。あとは親子、従兄弟同士、学校の先生、自分の子供...あとは、幼馴染とか。」
...ちょっとだけ、ふざけただけ。
ふざけてみただけのつもりだった。
最後の『幼馴染』は、完全にネタのつもりだった。
当然のように、『だよなぁ、幼馴染は無ぇよなぁ。俺、薮と恋人同士なんて絶対考えられねぇ。』という返答を期待していた。
期待していたのに...
「...薮、幼馴染は恋愛対象外なのか?」
「へ?」
「お前にとって幼馴染は...俺は、恋愛対象外だったのか?」
「え、いや...それは......ええっ!?」
...こんなの、誰が想像出来た?
一瞬でパニックに陥って、言葉が続かない。
「...薮、ちょっと来て。」
「ま、待てよ光...っ!どこに...」
「いいからっ!!」
「...っ」
思い切り強く手首を掴まれて、あっという間に部屋の外。
...最後に見えたのは、雄也の美しい寝顔。
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まなお(プロフ) - 蜂蜜色羽@最近同担に嫉妬を覚えてる。さん» そうですね、実際自分は兄弟で一番上なので、弟よりは兄目線が書きやすいので深いと言えば深い思いは込めているつもりですw今回はちょっとドロドロが過ぎましたね...wでも、こうやって物語の本質を見抜いてくださる方がいると心強いです!ありがとうございます!!! (2018年7月10日 23時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜色羽@最近同担に嫉妬を覚えてる。(プロフ) - もう本当...複雑ですね〜、“恋は”。世界には色んな、愛の形がありますよね。それが例え、醜くても純粋なものだとしても、その人を愛している事に変わりはない...お互いがそれを望んでいるなら、私は良いと思います。素敵なお話、ありがとうございました♪ (2018年7月10日 23時) (レス) id: 31b17e5fce (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜色羽@最近同担に嫉妬を覚えてる。(プロフ) - 完結おめでとうございますぅぅぅ!この作品も本当に、大好きでした!いつも思うのですが、まなお様の書かれる作品には、まなお様の深い思いが、込められているのではないかと...あ、これはあくまで、私的見解なので笑 気にしないで下さい笑 (2018年7月10日 23時) (レス) id: 31b17e5fce (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - ひかやぶ愛ingさん» そんなに!?wまぁ最近伊野ちゃん受けが多いからひかやぶ不足ってのは頷けるな。とりあえず期待しないで待っててねw (2018年7月9日 19時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかやぶ愛ing - やぁぁぁったぁぁぁぁぁ!!!!!ありがと!ひかやぶ(拝) (2018年7月9日 18時) (レス) id: 18cd2ba58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まなお | 作成日時:2018年5月22日 16時