Troubled persen

七話 ページ8

成瀬side



センターに選ばれてしまった





「サイレントマジョリティー」




静かな多数派…ね





そしてこの曲に合うために笑わず



パフォーマンスしようと……



笑わず



簡単じゃん




無表情なんて


もう慣れてるし


·






·






MVの撮影日が来た




小林さんの自転車のシーンや



色んな撮影が行われた



少し肌寒かったから防寒着にくるまっていると



近くでシャッターの切られる音がした




志田「フフ…可愛いとこあんじゃん」



『な、なにがですか？』



志田「くるまってる姿、可愛かったよ」





そう言い捨て、離れていった志田さん






──無愛想だけど可愛いじゃん




それだけハッキリ聞こえた



…なんだか心がモヤモヤする



はぁ……






·






·




·


気持ちが悪い



吐きそうだ



人のご厚意なんか



気味が悪い


やめてくれ




ボクに何を隠そうたって無駄



全部聞こえてる



スタッフさんの声も


内心愚痴ってるメンバーの声も


楽しそうにはしゃぐ声も


全部全部全部全部全部






·






·


『聞こえてる』






平手「……何が？」





『へっ……？』



素っ頓狂な声を上げると



不思議な表情をした平手さんがいた




平手「さっき、聞こえてるって



　 何が……『いえ、関係ありません』


　 ……そっか、ごめんね」






少し傷ついた表情をして


離れていった




あぁ！


もう……



そんな表情しないでよ……！



もう


傷つきたくないし



傷つけたくないないの…



やめて……



これ以上


ボクに




関わらないで




ボクを壊さないで







怖いから




これ以上、ボクが





ボクじゃ無くなっていくのは



もう嫌なの…！




next……

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