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【O】
みんながいるうちにと、風呂に入ろうとしたけど、脱衣所で蹲ってしまった翔くんを抱えてリビングに戻った
O「少しお話しよっか」
S「ん、」
O「お風呂こわい？」
S「うん…」
O「わかった
一緒に慣れようね」
S「…いたい…こと、ない？」
O「うん。痛いことないよ」
翔くんにとって、家は閉じ込められて、痛いことをされるところ
どの部屋に入ってもすぐに親の陰に支配されてしまう
しかもさっきポロっと「べっど、はじめて」って溢したのを聞き逃すことはなかった
O「初めてのこと、たくさん教えてね
痛いのも、怖いのも、我慢しなくていいからね」
S「でも、めいわく」
O「ううん？迷惑じゃないよ？」
S「おこらない？」
O「もちろん。怒らないよ
痛いこともしないから、安心して？」
S「はなれ、ない？」
O「なんで離れるの？」
S「だって、きたな……」
O「汚くないよ。翔くんが頑張って生きてきた証でしょ？全然汚くなんかない」
すぐには伝わらなくても、だんだん伝わっていけばいいな
そう思いながら抱きしめる
翔くんに家のことを話しておかなくちゃいけない
社長に昨日のうちに連絡していくつか候補を挙げてもらった
家賃と引っ越し代は全部社長が払ってくれることになっている
「翔くんがここまで偽らなくてはいけなくなったのは最初に声をかけた自分のせいだ」と社長は自分のことを責めていて、これだけは譲れないと言われた
今日見せられた家の写真は、5人で暮らすのにぴったりな家
しかも家の中の仕切りが少なくて、部屋の出入りがリビングからしっかり確認できる
個室も確保されているし、庭にちょっとしたウッドデッキもある
都心からは少し離れているけど、静かで治安もいいみたい
O「翔くん、おうちのことお話していい？」
S「や…こと？」
O「ううん、嫌じゃない
とっても嬉しい事」
S「？」
O「これからはみんなで一緒に暮らします！」
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作者名：きー | 作成日時：2021年5月6日 1時
