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【A】
社長にもう一回話に行くと言った大ちゃんに松潤は付いて行った
決められれば家のことも決めてきてくれるみたい
特に用事のなかった俺はここにいることにした
すっかり静かになった寝室を覗く
A「かずー」
N「ん？」
A「和は必要だよ」
N「ん…」
和の返事が短い時は危険な時だ
過去に引っ張られかけてる
A「かず？こっち見て？」
N「んーん、」
A「かず、いらなくないからね
和のこと大切だよ」
N「…」
腕をつねっていた手を外して両手をしっかり繋ぐ
酷い時には自分で傷を作っていた和は、今でも爪を噛んだり、自分の腕をつねる癖があって、無意識だから気を付けてあげなきゃいけない
何度も「必要だよ」「大切だよ」って言い続けているとじわじわと目に涙が溜まってくる
A「苦しかったね」
N「しょ、ちゃんのこと、だからっｸﾞｽｯ」
A「うん。おいで」
抱き上げてリビングのソファーに移動した
しばらく背中を摩っていると胸に頭をグリグリ押し付けられる
A「和が過去に引っ張られても誰も翔ちゃんのせいだなんて思わないよ」
N「でも…」
A「きっかけではあるかもしれないけど、色んなことがあって疲れちゃったから思い出しやすくなってるんだと思うよ」
そのあともどこかフワフワしていて危うい雰囲気をまとった和に、帰宅した大ちゃんと松潤もすぐに気が付いた
それでも何も言わずに接している
夕飯は煮込みうどん
翔ちゃんは素うどんだった
細かく切りながら口に運ぶと少しだけ食べてくれて、うどん一本食べ切ったところで潤くんのストップがかかる
決して賑やかではないけど心地いい空間
早くみんなで暮らしたいな、なんてね。
O「そういえば社長が精神科紹介してくれるって」
A「あ、そうなの？」
M「うん、そんでその人が内科医としても働いてるから治療もしてくれるんじゃないかって言ってた」
N「翔ちゃん、お医者さん診てもらう？」
S「…なん、で？」
M「お医者さんが痛いの直してくれるって」
俺ら以外の人を受け入れられるかは正直わからない
それでも翔ちゃんの体に傷は、素人が下手に手当てすれば悪化する可能性もある
精神科の先生ってことはきっとお話も聞いてもらえるかもしれないし、これがいい方向に行けばいいね。翔ちゃん
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作者名：きー | 作成日時：2021年5月6日 1時
