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【S】
物心がついたころからずっと虐待されている
学校にも行かせてもらえなかった僕は、 おとうさん と おかあさん と おにいちゃん がいないときに、 おにいちゃん の本を読んで読み書きを覚えた
最初は全く読めなかったけど、テレビの音とか、みんなの話してる声を聴いているうちに、それなりには話せるようになった
14歳になってすぐの頃。
初めて連れて行ってもらった外で社長に声をかけられて ジャニーズ になった
僕に決定権はなくて、社長の「この子は必ず売れる」という一言に反応した おとうさん と おかあさん が行けって言ったからレッスンに通った
周りの子たちは楽しそうに話すけど、みんなが話していくスピードに着いて行けなくてすぐに孤立した
家では相変わらずいっぱい殴られて、蹴られて……
「汚いから隠せ」
おかあさん に言われて、コンシーラーとか、ファンデーションとかで隠すようになった
傷が増えて、隠すのに時間がかかるようになるたびに、自分がどんどん汚くなっていくように思った
数年が経って、メイク道具の力だけでは隠しきれないようになった
夏でも長袖を着てレッスンに通う日が続いて、熱中症で何度か倒れた
社長にもうやめたいって頼んだ
事情は話せなかった
自分の家庭が普通じゃない、自分の置かれてきた環境は普通じゃないって気付いてからは尚更助けを求められなかったし、誰かに言ったらもっとひどい事される
その思いで頭がいっぱいになって、誰かに言う気なんて起きなかった
社長は僕の辞意を受け入れないまま「一緒にハワイに行こう」と言った
拒否する間もなく飛行機に乗らされた
はわいってのがどういう所かも知らなかった
同じ便には４人、ぼくでも知っているJr.の子が乗ってる
にのみやくん 、 あいばくん 、 まつもとくん 、 おおのくん
4人はデビュー寸前だってみんなの中で噂されてた
きっと僕はそのお手伝いだな
最後の仕事を与えてくれたんだろう、そう思って、荷物を持ってホテルに向かった
ホテルについてすぐ。
会議室に集められて社長が一言「今日からお前らは『嵐』だ」って。
「デビューだ！」ってはしゃぐ あいばくん と まつもとくん
眠そうだった目が一気に開いた にのみやくん と おおのくん
ぼくは4人に向かって「おめでとう、頑張って」って言ったんだけど「櫻井、お前もだぞ」って社長に言われた
ぼくも…… あらし …なの……？
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作者名：きー | 作成日時：2021年5月6日 1時
