【HP】ジョージ・ウィーズリーと結婚するお話⑫＊謎のプリンス＊ (ページ8)

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シル「どんな夢だったのですか？」

シルキーは心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。私は夢の内容を鮮明に思い出しながら話した。話が終わると、シルキーのテニスボールに似た瞳がうるうると涙ぐんだ。

シル「……そう、ですか。その時が来てしまったのですね」

「………………どういう意味？」

シル「お嬢様、行きましょう。夢で見た場所へ…その前にそのままだと体が冷えてしまいますから、新しいパジャマに着替えましょう」

シルキーはパチンと指を鳴らすと、クローゼットからパジャマが私に向かって飛んできた。

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シルキーと箒に乗って真夜中の森を飛んでいる。箒の先端にランタンをぶら下げ、怪しげに辺りを照らしている。何が起こっても大丈夫なように杖をしっかりと握りしめた。今夜は雲が月を隠しているので、森は真っ暗だ。

だんだん木が少なくなり、開けた場所に着いた。そして夢で見た湖が見えた。幼き頃から何度もこの湖を見ているが、今日は違う場所に見えた。月の光がないからだろうか、不気味に感じる。杖を構えて人がいないか確認したが、侵入者はいなかった。

シル「お嬢様、これを…」

「いつのまに持ってきてたの？」

シルキーは懐から真っ白な箱を取り出した。これは５年生の時に家の隠し扉で見つけた物だ。この箱は両親が私のために用意した物だが、開けることが出来なくてずっと部屋の隅に飾っていた。一緒に隠されていた母のメモ書きを思い出す…もしかしたらいまなら開けることが出来るのかもしれない。

「"鍵は時期が来ればどこにあるか分かるはず"…つまり予知すれば分かるってことかしら？」

シル「今のお嬢様ならできると思います！！」

「分かった、やってみる」

私はシルキーから箱を受け取り、両手に乗せて両目を瞑った。だんだん森の音が遠ざかっていく………………………………………ああ、そうか。鍵は近くにあった。私自身だったんだ。頭の中で理解すると同時にゆっくりと両目を開けた。

私はずっと開かなかった真っ白な箱の鍵穴にキスをした。すると両手に収まる大きさの箱は、まるで絵の具のついた筆を水の上に垂らした時のように、色がつき始めた。さまざまな色に変化したが、やがて黒色に変わると、初めて箱の重さを感じることが出来た。