【HP】ジョージ・ウィーズリーと結婚するお話⑫＊謎のプリンス＊ (ページ4)

今日:88 hit、昨日:382 hit、合計:26,367 hit

・ページ4

・

「ごめんなさい、わたしにはジョージ・ウィーズリーっていう赤毛で世界一かっこいい彼氏がいるの」

チョ(違うよ！これは信頼の証！気になるあの子にはもう少し仲良くなってから羽を渡すよ！)

チョコはバサバサと激しく羽を動かした。

「そう、ありがとう。この羽をお守りとして今日一日身につけておくわ」

チョ(お仕事頑張ってね！あと、髪型似合ってるよ！)

チョコは毛先を嘴でつんつんと突くと、森へと飛んでいった。

・
・

動きやすい紺色のパンツスーツに着替えた私は、魔法省に持っていくための書類を鞄に入れた。チョコがくれた羽をまじまじと眺めてから、スーツの裏ポケットに大切にしまった。

シル「送っていかなくて本当に平気ですか？」

「うん、大丈夫。私ももう立派な社会人だし。…まあ、まだ見習いの闇祓いだけど」

シル「分かりました。お気をつけて！」

シルキーとギュッとハグをしてから、私は姿くらましをした。視界がぐるぐると回り、人気のない路地に両足をつけた。スーツの皺を伸ばしながら路地を出て、人混みに紛れながらトンクスさんと待ち合わせしているお店を探した。

待ち合わせ場所の店名はTeacats(ティーキャッツ)。アンティーク調のティーカップを取り扱っているお店で、店の入り口に猫の置物がたくさん置いてあるお店らしい。トンクスさんは目立つからすぐ分かるって言ってたけど、その意味がよく分かった。

ここだけ違う街に来たみたい。まるで小さい頃に遊んだ人形のお家みたいだ。ショッキングピンクのお店と窓から見えるティーカップが太陽の光に反射してキラキラと輝いている。ピンク、ティーカップ、可愛い猫…頭の中でピンクのガマガエルがよぎったが、首を横に振って考えるのをやめた。トンクスさんがお店をじっと見ていたので、後ろから声をかけた。

「おはようございます！」

トン「おはよう。お、気合い入ってるね！」

トンクスさんは私の髪の毛を指差しながら、ニッコリと笑った。彼女の髪の毛は今日も風船ガムのようなピンク色で、真っ黒な皮のジャケットを着ていた。

「このお店、好きなんですか？」

トン「そんなわけないでしょ。私がこんな可愛いティーカップで紅茶を飲んでたら、家族に笑われちゃうよ」

トンクスさんは鼻で笑って、呆れた顔でティーカップの猫を睨んだ。