【HP】ジョージ・ウィーズリーと結婚するお話⑫＊謎のプリンス＊ (ページ16)

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話に夢中でいつのまにか店内の客は私達しかいなかった。デザートを食べる気分ではなくなった私達はお会計を済ませて、店を出た。なんとなく空を見上げると、どんよりとした雲が月を隠していた。

トン「話を聞いてくれてありがとう」

「力になれなくてすいません…」

トン「ううん、話を聞いてくれるだけで力になってるよ。本当にありがとう」

トンクスさんは私の肩をトントンと叩いた。彼女の髪色は今もくすんだ茶色だったが、表情は少しだけ明るくなっていた。すぐ近くにある街灯がチカチカと点滅したので、私とトンクスさんは咄嗟に身構えた。周りを見渡し様子を伺ったが、危険はなさそうだ。互いにアイコンタクトして、大通りに向かって歩き出した。

「あの、週末って予定ありますか？ウィーズリー家の夕食に招待されてるんです。モリーさんがルーピンさんとムーディーさんも誘ったと言ってました。モリーさんならトンクスさんも夕食に来てくれたらきっと____」

トン「その食事会なら私もモリーに誘われたよ。でも断っちゃった。今はリーマスと顔を合わせたくなくて」

トンクスさんは早口で言うと、唇を尖らせながら俯いて、足元にあった小石を蹴飛ばした。私は言葉が見つからなくて、無言になってしまった。コツコツと石畳の道を歩く２人の足音がとても大きく聞こえた。

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週末になり、私は隠れ穴の近くに姿表しをした。隠れ穴から美味しそうな料理の匂いがする。お腹を空かせた私は、少し強めに扉をトントンとノックした。少ししてからドアの向こうからモリーさんの声が聞こえた。

モ「どちら様？」

「こんばんは。Aです」

モ「まあ！A！いらっしゃい！…っと、お家に入れる前に貴方が本物かどうか確かめないと。そうね…Aとお付き合いしているのは誰かしら？」

とても簡単な質問だ。私はすぐに答えようとすると、モリーさんではない男の人の声が聞こえてきた。

？「母さん、そんなの誰でも知ってるよ。もっと難しい質問をするべきだ」

？「その通りだ、相棒！よし、じゃあ俺が質問する。俺たちは誰でしょう？」

２人の声を聞いて思わずニヤリと笑ってしまった。今夜会えると思ってなかったので、嬉しくてドアに向かって大きい声で双子の名前を言った。