△１１２「アタシ」 ページ8
△１１２「アタシ」
��いづみ side��
「あれ？Aちゃん、寝ちゃったのかな？」
晴翔くんと何を話したのかは、わからないが、凄く安心していたのがよくわかる。
「ねぇ………あなたはどうして、こんな風になっちゃったの？」
眠っているのを承知で、話しかける。
すると、起きたのかAちゃんは体を起きあげた。
「おはよう、落ち着いた？」
その声に反応し、Aちゃんはこちらを振り向いた。
A「あなたのせいだから」
その言葉は、今までの人生の中で、１番鋭く、１番深く刺さる言葉だった。
「どういうこと？」
そう聞くと、しばらく考えていた様子だったが、息を整え、Aちゃんは話し始めた。
.
Aは別に変わる必要なんてなかったんだ。
純粋で素直で………
ずっと、キレイなままいてくれればよかった。
アタシの言うことだけ聞いていればよかったのに。
ある日、隣に 立花いづみ が引っ越してきた。
それからはもう知っての通り。
Aは、何かを求めるようになっていった。
そして、いつの間にかAは、アタシの指示なしに動くようになっていた。
あなた 立花いづみ のせいで、Aは汚れたの。
だから決めたの。
アタシはあなたたちからAを遠ざける、と。
Aの意識が薄くなるとき、それが狙い目だった。
男子じゃないことがバレたら、ここにはいられなくなるだろう。
そう思って、Aが熱を出したあの日、意識が薄くなった瞬間、アタシはAの身体を乗っ取ることにしたの。
これで、ここから追い出される。
そう思っていたのに……
ここの団員、そしてAまでもがここに留めようとする！
だから、相部屋するってなった時は、チャンスだと思って、眠くなり意識が遠のいた瞬間を狙った。
なのに……なのに……！
Aは前よりもっと、私を追い出そうとした。
だから、アタシはAの意識を徐々に奪っていくことに決めたの。
アタシの存在は偉大だってことをわからせるために。
アタシだって、Aなの。
アタシにだけ辛い想い、背負わせてAだけ幸せになるとかありえない。
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作者名：きゃらめるみるく | 作成日時：2017年7月8日 15時
