にじゅうご。 ページ27
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…考え事とお話で、かなりの時間を使ってしまった。
高専に門限なんてあっただろうか?
いや、少しぐらいの遅れは許されるはずだ。きっと。呪霊を祓う仕事なんだし、帰って来るだけでもありがたそう。
ささ、早く祈って帰ろう。
移動には相当時間がかかるのだから。
神を象り、模った偶像の前にひざまずく。手を組む。
軽く見ただけでは無表情に見えるその口元も、祈りを捧げながら見上げれば。わずかに微笑んでいるようにも思えるんだ。
——神様、私は”呪術師”という、人を。そして呪いを救う仕事に就きました。
これも全部、神様のお陰です。
私の、 救済を与える と、いう使命を全うさせるためにお役目を与えてくださり、本当に感謝いたします。
これからもお役に立てるよう、精進していきます。
世界に救いが訪れますように。
ほら、神様がこちらを御覧になっています。貴方様のお力によって、我らが世界は進みゆく。
祈りを終え、すとりと立ち上がる。
最後に”神様”に一礼し、祈りの場を後にした。
…あの廃ビルで呪霊を喰べたときに感じた、謎のふらつきを報告すべきだっただろうか……。
———そう、”何故か”麗は呪霊を喰べた数秒間、意識が混濁していたのだ。
外見上は、ただ軽く脱力するのみ。”今は”、だが——。
はて、どうして彼女は神様にその事を言わなかったのだろうな?
…大変だ。時間がとてもかかってしまった。
高専に着く頃には空は真っ暗になりそうだ。既に時刻は夕方、朝方に出発したにしては可笑しいくらいに時間が経過している。
教会にいる間は考え事だって普段からは考えられないほど進むし、祈りにだって時間をかけてしまう。
神聖な気が満つるこの場所の美しさ。それがきっと、瞑想を続かせているのだろう。
ささ、早く帰らないと。
タクシー会社に連絡し、教会近くに来てもらう。幸い、先程この付近までタクシーがお客さんを送り届けたそうで。
こんな山奥まで、更に一日に二人もの人が同じタクシー会社を使っただなんて。社員の人もびっくりしているんじゃあなかろうか?
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山西 陽朔 - 面白い作品ありがとうございます。次回作に日蓮思想を題材にした作品を書くのはいかがですか?南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するという教えなら、日蓮上人の名誉さえ傷つけなければきっといい作品ができますよ。 (2023年4月30日 15時) (レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リム | 作成日時:2021年3月6日 13時