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じゅうはち。 ページ20





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辺りを見回しながらこつこつ、と音をたてて階段を上る。
踊り場を抜けた瞬間──到底言葉では表せないような禍々しさ、殺気が押し寄せてきた。

ぺた、ぺた。 ”ナニカ”の動く音がする。

階段を上りきり、音のする方を息を潜めながら覗く…と、そこにはどろどろに溶けた液体のような呪霊が蠢いている。いつか本で見た、スライムみたいだ──なんて、場違いな感想が浮かぶ。



──仮にも呪霊の前でそんなことを考えて隙を見せてしまったからだろう、気づいたときには後ろからもう一体の”ナニカ”に蹴り飛ばされていた。


『痛っ……』

地面に打ち付けられた時に噛んでしまったのか、口の中は錆びた鉄の味がした。







あれ?


呪霊が、見えづらい…?
他のもの、例えば床や灰色の壁は鮮明に見えるのに。──呪霊だけが。
それだけが見づらいんだ。


ふと、伏黒の言葉を思い出した。
悠仁はたしか、”両面宿儺”とやらの指を食べて呪力を手にしたのだったな。



ならば、こうは考えられないだろうか。

私は、呪霊を喰らうことで呪霊を見ることが出来るようになる、と。


この前(ページ4、に。)のはおそらく例外なのだろう。
あれは下手すれば命の危機だったのだ、神のご加護のお陰に違いない。


───そう、彼女の呪力は不完全だったのだ。
呪霊(穢れ)は見えないのに、呪術は使える(救済は出来る)
それこそ神に与えられた、と言っても可笑しくないような偶然。

本当は”科学的に説明できるようなもの”だが、彼女のためにも今は知らない方が良いのだろう───


ならば…
あの、先程私を蹴り飛ばしてきた兎のような呪霊を喰らえばもう一体も救えるのではなかろうか?


兎呪霊の目のほう──3つ目でどれを見れば良いのか分からないから顔の正面──をじっと見つめる。
野生動物にとっては、相手の目を見つめるというのは威嚇であったはずだ。

そして、相手が自分よりも弱いと思ったら。




──呪霊はこちらに飛びかかってくる!


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じゅうきゅう。→←じゅうなな。



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山西 陽朔 - 面白い作品ありがとうございます。次回作に日蓮思想を題材にした作品を書くのはいかがですか?南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するという教えなら、日蓮上人の名誉さえ傷つけなければきっといい作品ができますよ。 (2023年4月30日 15時) (レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リム | 作成日時:2021年3月6日 13時

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