ラブソングなんて、似合わないよ… (ページ27)

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ファミレストーク② ページ27

マサキ「リュージは？今までどんな恋をしてきた？」

三日月スマイルを称えながらトーイの話に頷いていたリュージに話を振ってみる。

リュージ「いやー、色々あるよ？俺も、向こうから好かれて初めてこっちも好きになった、っていうパターン結構あるし。でも俺、自分が本気で誰かを好きになると、割と自分のことを考え始めるかも」
マサキ「どういうこと？」
リュージ「いやほら、やっぱり向こうにも好いてもらいたいじゃん？だから、好かれるためにはどんな俺になるべきかなーとか、改めて俺ってどんな人なんだろうなー、長所は？治すべきところは？って、自分について考え直すことが多いかも。」

リュージの言っていることが、とてもよくわかる気がした。

恋愛は相手ありきだから、どうしても相手のことだけでなく、自分のことも振り返らざるを得ない。

タクミ「でもさ、そう考えると不思議だよなー」

ずっと口を挟まずにみんなの話を聞いていたタクミが、呟いた。

タクミ「友達関係とか、こういう仕事の関係とかも人と人との関わりの中でやっていくわけじゃん？それなのに、恋愛ほど自分を意識する感情って、他にはないよなーって。なんで恋愛だけ、あんなにムキになるし、自分のことばっか考えるようになっちゃうんだろう」

恋愛の時だけ、冷静じゃいられなくなる。

ムキになって相手を振り向かせたくなるし、振り向かせるためには自分がどう振る舞うべきかを強く意識する。

確かに、不思議だね。

トーイ「多分さ、まーくんはそういうの、ないんじゃない？誰かのために自分よく見せようとか、思ったことないでしょ？」

頬杖をつきながら、真剣な色の目でトーイが見つめる。

トーイ「まーくんはいっつも他人のことばっかり考えてるからな。きっと自分本位になりがちな恋愛って物自体を、無意識のうちに避けてるんだと思う」

俺が、、、恋愛を無意識に、避けてる？

考えもしなかったトーイの言葉に、一瞬頭がかき乱される感じがした。

トーイ「しかもまーくん自覚ねーべ？」

追い打ちをかけられるようにトーイの言葉が耳に入る。

リュージ「確かにマサキ、自分のこと割とどーでもいいと思ってるタイプだもんな。自分より相手！みたいな」
トーイ「だろー？だからきっと、恋愛しようにも相手のことばかり見ちゃうから自分の気持ちに変化を起こそうなんて考えもしてないんだよ」

頭の、今まで動かしたことのないところの歯車を、ゆっくりと回され始めている感覚だった。