昌暉くんが優しいのは、、、 あなたside ページ18
「うん、分かった。私、スラッシャーになる。」
完全に昌暉くんの思いに動かされた私。
でも、本当はDISH//自体を、というより、昌暉くんをずっと見ていたいのかもしれない。
「嬉しいです。ありがとうございます」
柔らかく落ち着いた表情で微笑みかける。
そこには、DISH//のメンバーとしているときの、ふざけたパンティキャラや、ウザキャラなどを演じている彼とは、別の人物のような彼がいた。
「でもさ、辛くない？本当はこんなに真面目なのに、あんなパンティパンティ言ってて」
私なら二週間で限界。持って3週間かな。
「あれも本当の俺の一つなんで。辛くはないですよ！滑りまくる時もありますけど笑」
本当の昌暉くん、か。
「俺、楽屋とかでもたまに今みたいな自分になっちゃって、メンバーからも本当は無理してるんじゃないか、ってよく心配されちゃうんです。でも俺からすると、あれは叫びたいから叫んでいるだけで。うざキャラだって、あれやればみんな笑ってくれるからこっちも乗り気でやってるんで、ホント楽しいんですよ？」
まあ、表情を見れば確かに楽しそう。
叫びたいから叫んでるとか、、、
「昌暉くんも、結構本当に変人なんだね」
フッと、思わず笑ってしまった。
変人だと言われ続け、なおもそれを、自分のステータスだと思い込んでいた私と、どこか似たものを感じたから。
「よく言われます！でもDISH//は基本変わり者の集まりですよ。だからあんなにバカやれてるんですけどね」
ああ。
彼は、やっぱり自分が変人だと言われることすらも、メンバーとの関係に帰属して考えているんだ。
ただ単に、俺は変人だ！こういう人間だ！こういうキャラでいくぞ！ってだけ考えてるんじゃないんだ。
常に周りをよく見て、求められているものに応えられる自分を当てはめているんだなぁ。
つまり、それだけいろんな面を持つことができている。
いろんな自分を持つことは、それぞれをちゃんと俯瞰で見て、コントロールする自分も確立していないとできないし、何より、いろんな自分を構成するための広い視野が必要になってくる。
しかも、視野を広げるためには、いろんなものを受け入れる広い心も必要だ。
すごいんだなぁ。
彼は、ただの「優しい人」なんかじゃなかった。
多くを受け入れ、多くを冷静に見ることができるから、余裕が生まれて優しくなれているんだった。
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作者名：苺ミルク | 作成日時：2017年4月28日 3時
