平凡な私の漂流記 (ページ13)

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あれから暇な時にマルコさんの部屋の扉を仕事くーださーいと叩きに行った訳だが行く度に業務の難易度が上がっていった。

その具体例がこちらです。

「取り敢えずこれとこれ纏めました。え、判子押し？了解です。」
「すみません、ここの計算なんかズレてませんか？え、分かりました。やってみます。」
「ここの文字の訂正…あっ、ウィッス、やっときまーす…。」
「この書類タワーなんですけど取り敢えず期限が早い物とそうで無い物、上から順に重要そうな物で分けときました。あー、はい、次に取り掛かります。」

あれ、居候の身でなんか重要な業務まで任され過ぎてね？と思ったある日の午後。ここの計算はこの方程式使えるなーと思いながら仕事してたら

「なぁリン。」
「はい。」
「うちのクルーになる気はねぇかぃ？」
「…は？」

取り敢えずこの場はパンピーに海賊なんて無理ゲーですと訴えたのだがことある事に勧誘してくるマルコさんに終始私の表情筋が死んでいったのである。

ーーー

「マールコさーん！お仕事くーださーい！」

エースが拾ってきたリンって奴ははっきり言って海賊なんかにゃ到底無理なポヤっとした奴だった。

海賊に攫われて身売りされそうになったと聞いた時はこんだけ無防備だしそりゃ捕まりやすそうだと思わず納得してしまったと同時にコイツの運の無さに少しばかり同情が芽生えた。

そんなコイツはどうやら何もせずただ船に乗っているだけという事が嫌らしい。働かざる者食うべからずな常識を持つ奴は嫌いじゃねぇ。こんな弱そうな奴にも出来る仕事があったかねぃと見繕った結果、俺の事務処理を手伝うこととなったのだが…

「優秀すぎるよぃ。」
「それは事務処理してるって噂のリンって子のことか？」
「あぁ。机に齧り付くのが得意でおまけに読み書き計算も出来ると来た。事務処理においてかなり優秀な奴だ。」
「白ひげ海賊団1番隊隊長様のお墨付きとあらば相当使える子みたいだな。」

無駄なく作業し分からない事は素直に聞く。物覚えも悪くない。溜まっていた仕事をここ数日で大分片付けることが出来たのはあいつの力あっての事だ。

それに丁度行き詰まった時には

「マルコさーん、長時間仕事しすぎですよー。コーヒー貰ってきたので1度休憩を！」

ヘラッとした顔で相手の気遣いまでしてきやがる。

「このまま手放すのは惜しいくれぇだ。」
「いっそのこと妹に勧誘したらどうだ？」

それから俺はリンを勧誘しまくるのであった。