キャンジャニ∞の騒がしい日常【小説】 (ページ29)

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味方か敵か？ページ29

錦戸side

わっけ分からへん…

『実家はどうだろうと関係無い』？

『主にターゲットになるのは一般家庭の生徒』？

そんなん…考えられるか。

俺の実家は関西一帯を纏める【総神会(そうじんかい)】の直系。

世間様から言うとヤクザとか、そんな類(たぐい)。

小学校、中学校はそのせいでどんだけ周囲や教師から距離を置かれてきたことか、知らんやろ。

対する沙緒は、あんまり知られてへんけど警察庁長官に近い立場のオトンに、検挙率No.1の敏腕刑事がオカンっちゅう警察一家。

一般家庭なんて程遠い上、家はめちゃでかいし。

せやのに、ちょっとビクビクしとらからって理由で狙われるんか？

理不尽にも程があるやろ。

「あ、アカン。ぬるなってまう」

手のひらで缶を保温しつつ、またさっきの場所へ。

今度は丸山隆平だけで、華宮咲耶先輩はおらんかった。

話を聞くと、どうやら自分の部屋に戻って後輩らに説明やらしとるんやと。

「あー…俺も戻らなアカンのか」

「亮さん、すみません。私がワガママ言ったせいで…」

「俺がやりたいからやってんねん。沙緒は悪ないやろ」

「それ飲んだら、部屋に案内するわ。少しでも部屋の間取りとか知っとかへんと、後々不便やろ?」

「すみません。ありがとうございます」

「先輩として当然のことやで」

ムフ、なんて気色悪い鼻息漏らして胸を張る丸山隆平。

なんやろ、男として認識してからだんだん女装が似合わんように見えてきた。

「ほんなら、俺戻るけど…沙緒、ホンマに大丈夫か?
気分悪なったりしたらすぐ言うんやで」

「大丈夫です、本当に。お気遣いありがとうございます」

「ほな…沙緒に変なことすなよ。丸山隆平」

「ヒィッ！怖っ！！」

最後の最後にドス利かせた睨みを見舞って、さっきの部屋まで記憶を便りに歩を進めた。

道中は、さっきの城宮先輩の言葉ばっか考えとった。

最初はなんかめっちゃ高飛車で、女王みたいで嫌なタイプやったけど、案外そうでもないんかなって思えてきた。

やって、あの人の采配がなかったら俺も沙緒もターゲットとして3年間過ごすハメになる訳やろ？

まぁ、確かに沙緒はいじめられそうな格好しとるけどさ。

やっぱ高校デビューとして、髪切ったり化粧したりするのがええんかな。

思い切って染髪？

あっ、それはアカンか。親父さん許さへんやろうし。

何はともあれ、安全に学校生活送れそうで良かったわ。

「あっ、城宮先輩の部屋行かんでええ言うの忘れてた」