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「今日もふっつーの日だね」
「ねー、」
「普通すぎて怖くなることってない?」
「それ幸せであるがゆえに出てくる言葉だよ」
「…そうなのかなぁ」
同僚のユイちゃんと、仕事の合間に休憩タイム。
特に何もない、いたって普通の一日で、
毎日同じ制服を着て毎日同じ作業をこなす。
それって何だかロボットみたいだね、
とユイちゃんが呟いて
私の方を見て、しまったという顔をしている。
良くも悪くもけんちゃんはそんな部類のロボットではない。
「…そんな顔しないでよ、全然気にしないから」
「いや、ロボットってそんなイメージがあって」
「分かるよ、すごい分かる」
ユイちゃんもどちらかと言うと私寄りの人間で
アンドロイドもサイボーグもひとまとめにロボット。
「山下くん、アンドロイドなんて知らなかったな」
「私だって知らなかったよ」
「Aずっと仲よかったじゃん、…何か気付かなかったの?」
「気付いてたらユイちゃんに言ってたよ」
「だよねぇ」
ユイちゃんとの会話は上手い具合に完結した試しがない
だけどそれが逆に私たちらしくて、心地良い。
「でもね、…私は、」
けんちゃんはきっと
そう言いかけて口を閉ざした。
「よぉ、お二人さん休憩中?」
目の前にけんちゃんがいたから。
「うん、そうだよ」
「山下くんは?Aに会いにきたの?」
「まあ、そんなところやな。Aに会わなやってられへんから」
けんちゃんは、そう言ってほほえむ。
そんな恥ずかしいこと言わないで、
と言いかけた私に話す隙も与えないで
今日、仕事終わったら待ってるから
そう言い残して手をヒラヒラとさせる。
嬉しい気持ちと同時に、何故だか嫌な予感がした。
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作者名:葵 | 作成日時:2017年3月6日 20時