第三夜 蔑 ページ4
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「これより、審神者定例会議をはじめます」
広々とした間の中、他本丸の審神者と
その近侍の刀剣男士たちが並ぶ。
そして時の政府の役人が前に立ち、
会議を進めていく。
「歴史修正主義者たちの動きですが………」
その片隅、脇に一期一振を控える私は
声を発することも無くただ資料を見つめていた。
「…また、新たな刀を顕現したらしいな」
「懲りずにまた顕現？身の程知らずね」
「あの本丸は特殊すぎて嫌なのよね」
「刀剣たちへの情けなど要らぬのに」
四方八方から飛んでくる、私に対するいやみと蔑み。
いつもの事だけど、それでもこの苦しくなる空間は嫌いだった。
今の近侍は一期一振。状況はわかっていても
一期はただ、静かに佇んでいた。
「襲撃で何もかも失って、たった一振だけ残った加州清光に随分執着しているらしいわね」
「刀剣男士は所詮モノ。扱い方を間違えればそれまで。ヒトとして扱っていては命がいくつあっても足りんのに」
わかってる。
私の審神者としての威厳も、
刀剣男士たちの主としての威厳も
私には無い。
それでも、あの人たちをモノだと思ったことはない。
意思を持ち、自分たちの力で動ける。
それをヒトと言わずになんと言うか。
私は、本丸を再建したことに後悔はしていない。
「主殿、本丸に戻られますか」
「……」
「…あの者共の言うことなどは気になさるな。
私達は貴方が主で良かったと心から思っています」
「……一期一振、私は」
「だから、そんな顔をせんでくだされ」
「っ…」
頬に、するりと一期一振の手が触れる。
こんなにも温かいのに
あの審神者たちはモノだと言った。
確かに元はモノかもしれない。
私たち審神者が人間の形にしたかもしれない。
それでも、それでも今は
ちゃんと血が通っている。
私のことは蔑まれてもいい。
ただ、刀剣たちだけは
傷つけたくない。
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