って君は【Taiga.K】 (ページ10)

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epiSode 10 ページ10

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「A～」

お昼休み。教科書を片付けてお昼の準備をしていると、クラスの友人が声を掛けてきた。

「ん、なに？」

「京本先輩が呼んでるよ、知り合いなの？」

その名前に、どきり、と胸が鳴る。

そうか、今日来るって言ってたっけ。教室の入口に目をやると、一際目立つ金髪が此方を見ていた。にこ、と目を細め、ひらひらと手を振ってくれる。

「あー、うん。そうなの。ありがとね」

「えー、意外！どんな関係？」

友人にお礼を言って先輩の所へ行かなきゃ。そう思ったのに、私と先輩の関係に興味があるらしい友人は目を見開いて質問してくるものだから苦笑い。

関係なんて聞かれても、説明が難しいのだけれど。

「や、えーと…」

「トクベツな関係、かなー」

返答に困っていると、背後からあの凛とした声が降り掛かる。

「え、せんぱい」

「んふふ、Aちゃん、一緒にお昼食べよ」

いつの間にか教室に入り私の後ろへと来ていた先輩は、友人をひらりとあしらい、私の机に自分のものであろうお弁当を置いた。

「Aちゃん、コンビニ飯なの？」

「はい、親も私も朝が弱くて」

近くの椅子を借りてきて、私の机で向かい合わせに座る。鞄から朝コンビニで買ったパンを取り出すと、大きな弁当箱を開ける先輩に聞かれた。

それにしても、何だか周りからの視線が痛いような気がする。

私が派手な人と絡むイメージが無いからだろうか、先輩の金髪が目立っているからだろうか。

「じゃあ、俺のお弁当のおかずなんかあげるよ」

「えっ、いいんですか？」

「うん、どれ食べたい？」

先輩のお弁当へ目をやると、しっかり彩りや健康を考えてあるであろう沢山の具材が詰まっている。

プチトマトの赤、サラダの緑、たまごやきの黄色。

「じゃあ、たまごやき食べたいです」

「おっ。いいよ、はい」

言ってから、たまごやきなんてお弁当の王道にして人気メニューを貰って大丈夫だっただろうか、と不安になったが、何故か先輩は嬉しそうににやにやして、箸でたまごやきを一切れ差し出してきた。

＿＿私はパンだから、箸やお皿を持っていない。
目の前に差し出された先輩の箸。

こ、これは。

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