epiSode 25 ページ25
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「大我先輩、今回はデッサンでもいいですか？」
「デッサン？鉛筆で？」
美術室に入り、腰掛ける先輩にそう声をかける。
デッサンは描くのにかなり集中力と時間が必要だし、作業も出来上がりも、水彩と比べたら華やかとは言えないのだけれど。
進学するにしろ何をするにしろ、デッサンが上手い事に損は無い。だから、先輩で練習したくて。
「勿論。いいよ」
「あ、いいんですかっ」
「Aちゃんの練習になるなら。デッサンの工程とか、気になるし」
「…あ、ありがたいです…っ！」
ふ、と微笑んで了承してくれた先輩の笑顔は、やはり髪が短くても変わらない。
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「てか、水彩以外も描くんだね」
イーゼルを立てていた所で、先輩が言う。
今まで水彩画ばかり見せてきたし、この美術室に飾られているのも殆どが水彩画だ。だからだろう。
「ああ、いや…水彩が1番描きやすいというか、得意なんです。他はあんまりで。だから練習したいなとは思っていて」
練習しよう、勉強しよう、とは心では思うものの、なかなか自分から行動出来ないのが恥ずかしい話。
自分の好きな方ばかり選んで、結局苦手からは目を背ける。
得意分野だけを磨く事だって素晴らしいけれど、向上心ばかりあるのに行動が出来ない自分の事は情けなかった。
「デッサンはまあ、人並みには出来るんですけど。油彩がどうにも…」
「じゃあ、それも俺で上手くなったらいーよ」
間髪入れずにそう言った先輩に、少し目を見開いた。
「何ヶ月でも俺、モデルやるから。一緒に上達してこーよ」
描いてほしいって頼んでんの俺だけどね、と肩を竦めて笑う先輩。
そこまでして、私の絵に向き合ってくれるのは、何故なんだろうか。
単に、自分の自画像を沢山描いて貰いたいから？
「…へへ、ありがとうございます。じゃあ次は、油彩で。頼みますね」
「うん、楽しみ」
多分、先輩も、何かを頑張りたい人だからだ。
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Luna(プロフ) - 初めまして。素敵なお話ありがとうございます。とても胸きゅん話でしたっ！！ (2021年4月11日 18時) (
レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：快眠 | 作成日時：2021年1月7日 1時
