って君は【Taiga.K】 (ページ23)

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epiSode 23 ページ23

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その夜。

リビングでテレビを見ていると、携帯に通知が入った。

通知の主は先輩で、それだけで嬉しくてにやけてしまいそうになりながら早速トーク画面を開く。

『髪切ったよ』

「早っ！」

思わず声に出してしまった。お母さんが声に反応して此方を見るから、何でもないよ、と誤魔化す。

数時間前に別れたばかりなのだが、あの後美容室に行ったのだろうか。

『早いですね、放課後切りに行ったんですか？』

『いや、さっき自分で切った』

またもや思いがけない文章に驚く。自分で、って。先輩は散髪技術なんてあるのだろうか。

『ずいぶん思い切りましたね…』

『思い切りが大事だからねこういうのは』

最もらしい返事が返ってきて、微笑ましい。綺麗な顔立ちで優しい内面の持ち主だけれど、時々こうして大分荒っぽい。

『写真、見る？』

『いや、次会う時までに楽しみにしてます！』

送ってから、折角だから写真を送ってもらえば保存したのに、と少し後悔。

けれど、豪快な先輩の自前の短髪が、より一層楽しみになった。

「あんた、何にやにやしてんの？」

「えっ、してないよ」

「してたよ！こうやってにへ～って」

私を見ていたらしいお母さんが、私が携帯を置いた所で声を掛けてきた。

どうやら私のにやけ顔の物真似らしい変顔に、思わず吹き出した。

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