epiSode 16 ページ16
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パレットの上に色を作って、筆に水を含ませて、色をとって。
薄く明るい色から、軽く、ぶわっとのせていく。
先輩は肌が白いから、暗くならないように気を付けて。けれど顔の凹凸はハッキリしているから、影はしっかりつけて。
「おお…、色が着くと、また印象変わるね」
「まだ肌だけですよ、でも、うん。わかります」
消しゴムで消せる色鉛筆や、やり直す事が出来るデジタルとは違って、一筆一筆に気が抜けない。
太い筆で大まかに色を置いて、細い筆で細かく塗り込んでいく。態と水を多めに含ませて、グラデーションを作る。
「…魔法みたいだ」
大袈裟だなあと思いながらも、そう言って心から感心してくれている先輩の金髪が、陽の光を反射してきらきらしている。そのきらきらも、この絵に落とし込めたらとても素敵だろうな、と思う。
金色を表現するのはとても難しい。
黄色すぎても、落ち着いたベージュに寄り過ぎてもいけない。先輩の金髪はなんだか上品で、じい、っと見て絵の具を混ぜ合わせる。
「俺さ、今度髪切ろうと思っててさ」
「へえ、いいじゃないですか。結ぶくらい長いですもんね」
「そーなの。この絵が完成したら、イメチェンしてみよーって」
ハーフアップの彼がモデルの、この絵が完成したら。
きっと、先輩は髪が長くても短くても、色が暗くても明るくても似合ってしまうのだろうな、と思う。
「…じゃあ、その切った姿も、描かせてくださいね」
「…！うん、もちろん。お願いします」
少し驚いて、嬉しそうに頷くと、揺れた金髪がまたきらきらと光って見えた。
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Luna(プロフ) - 初めまして。素敵なお話ありがとうございます。とても胸きゅん話でしたっ！！ (2021年4月11日 18時) (
レス) id: acb6885805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：快眠 | 作成日時：2021年1月7日 1時
