オトナだけどコドモな君と【キ.ヨ】 (ページ5)

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入った時は街も騒がしかったけど

少し静かになっていた

もう11月夜になるとかなり寒い

「さっむ………」

白い息を吐きながら隣に立つキヨ

さっきは着ていなかったロングコートが良く似合う

「んじゃ帰りますか」

「うん」

この前ハロウィンが終わったばかりなのに

辺りはすっかりクリスマスムード

通りは電飾に彩られ

街ゆく人々を照らしている

大通りにでると木々大きく揺れ

電飾の光がいっそう輝いてみえた

私は思わず服に顔をうずめた

「さみぃの？」

「寒い」

「じゃあこれ貸してあげる」

そういって差し出して来たのは先程までキヨがつけていたマフラーだ

「いいよ、キヨも寒いでしょ」

「俺は平気、北海道と比べたらどうってことねぇし！！」

自信ありげにそういう彼

なんかいちいち面白いなー…

「じゃあ…有難く使わせてもらう」

「でも俺が今度使う時なかったら困るし、今度あった時に返してよ」

「今度って…もう会う機会ないじゃん」

「それはこれからつくればいい」

彼は自身のスマホからLimeのQRコードを開き私に差し出した

「私嵌められたな…？」

「嵌められたって言い方ないだろ〜！」

ケラケラと笑う彼

つられて私もつい笑ってしまう

「…いやでもマジでさ、俺Aと友達になりたいんだよね」

「私も、友達なろっか」

「マジで！？やった！！！」

リアクションがいちいち大きくて

ちょっとうるさいけど

友達なら全然、楽しそうだし

キヨと連絡先を交換し終えると

気づけば駅に辿りついていた

「じゃあ私こっちだから、またねキヨ」

「おう！！またな！」

大きく手を振る彼

子供じゃないんだから……

そう思いつつもなんだか悪い気がしないのは

少しずつ彼のペースに呑まれている証拠だと思う