求婚...年の差３ (ページ38)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:33,496 hit

３８話目ページ38

車に乗ってもAの態度は変わらなくて...窓の外を見て黙りこくっている。

「飯食いに「勝己兄ちゃんはヒーローなんだよね？人助けがお仕事なんだよね？そんな人が私用で勤務時間減らすのは感心しない。」」

「ちゃんと予定組んでから来とるわ。切島も行け行けってうるさかったしな。」

「本当はね、嬉しいんだよ。忙しいの分かってるから。でも...私の事考えたりしながら仕事してたら危ないと思って。集中して欲しいだけ。」

そっと俺の手に触れ、心配そうな表情。

「仕事中に私情は関係ねぇよ。いざとなりゃAよりも目の前の救助に決まってんだろが。今でも要請があれば飛んでいくわ。」

「ごめんね、可愛くない事言って...。」

「ま、Aもそれだけ大人んなったっつう事だろ。ガキん時は暇さえありゃ会いたがってたのによ。」

グイッと肩を抱き寄せ、少し強引に唇を合わせた。

「虫除け...仕事行く時は付けとけよ。」

ポケットから小さな箱を取り出して、手に握らせて笑う。

ブルーの箱に白いリボンが結ばれている。

「な、何？」

「開けてみろや。」

綺麗に結ばれたリボンをほどき、箱を開けて目を大きく見開いた。

「...ブレスレット...？」

「本当は指輪にしようと思ったんだけどよ、仕事柄付けてらんねぇだろ？」

「これ、仕事の時に付けるの？勿体ない...傷付くよ。こんな高価なの付けられない...。」

「ごちゃごちゃうっせぇ。黙って付けとけば良んだよ。」

困惑気味のAの手首にブレスレットを付けてやりながら、そっと頬にキスをする。

「うわぁ、キラキラしてて綺麗...。」

「よく似合ってんじゃねぇか。何があっても外すんじゃねぇぞ。わーったな？」

「ん、わかった。ありがとう、勝己兄ちゃん。」

シャラっとブレスレットを撫で、Aはニッコリと微笑んだ。

「次は指輪でも買いに行くか？」

「指輪？それこそ付けられ「アホか、婚約指輪だわ。高校出たら買うつもりでいたからな。」」

「婚約...指輪...。」

両手を頬に当て、真っ赤になった顔を俺に向けてくる。

「んだよ？」

「どうしよ...幸せ。婚約って...嬉しい！」

そう叫びながら抱きついてきて、猫の様に顔を擦り付けてきた。

「Aの両親にも...改めて挨拶に行かねぇとな。」

腕の中でAは何度も何度も頷き、幸せそうに微笑む。

その顔を見て俺は「愛してる、早よ嫁に来いや。」とギュッと抱きしめた。