２２話目 ページ22
「ローズ、ラベンダー、檜、森林...これは日本酒の匂い！？」
「嫁さんがつわりん時に使わねぇって渡してきたんだわ。」
中には面白い匂いでカレーとかもある。
珍しそうにパッケージを見て、どれを使うか思案している様だ。
「勝己兄ちゃんはどれが良い？」
「何でも良いけどよ...日本酒にしてみっか？」
「私は良い匂いに感じるのかな？」
「さぁ...な。」
湯が溜まった合図の音楽が流れ、俺は日本酒の入浴剤を持ってバスルームに向かう。
浴槽に入浴剤をばら蒔くと、ほんのりと日本酒っぽい匂いが漂ってくる。
「...お父さんの匂いだ...。」
「あー、親父さんは日本酒党か？」
俺に背を向け、隠す様に脱ぐ姿ももう見慣れた。
いつまで経っても慣れない様で恥ずかしそうにする。
(ま、可愛いけどな...。)
俺はフッと鼻で笑い、先にシャワーを浴び始めた。
「勝己兄ちゃん...筋肉...すごくない？」
「おう。ちょっと撮影の為に付けたんだわ。」
タオルで前を隠し、まじまじと体を見つめてくる。
「んな見てんなや。おら、洗ってやっからタオル取れ。」
「い、いいよ。自分で洗うから...。」
「たまには...洗わせろ！」
タオルを取り上げ、シャワーをかけてやった。
「あんま見ちゃ...やだ。」
「見るに決まってんだろが？可愛い彼女の裸なんだからよ。」
スポンジを泡立て、そっと撫でるように洗っていくと恥ずかしそうに身をよじり、顔を赤らめて俯いてしまう。
「恥ずかしい...よぉ。」
「また胸でかくなってねぇか？」
「勝己兄ちゃんのバカ...。」
泡を流すのもそこそこに、Aは湯船へと逃げ込んだ。
「泡ついてんじゃねぇかよ。」
「だって、恥ずかしかったんだもん。」
湯船の淵に顎を乗せ、ホッとした表情をする。
「誰も取って喰ったりしねぇわ。」
「...ある意味喰われてるけど...ね。」
「...誘っとんのか？」
「さっ、誘ってなんか！...ある...かも。」
「あんのかよ。面白ぇ奴。」
色々話しながら体と髪を綺麗に洗い、俺も湯船に浸かった。
Aはちょこんと俺の膝の上に座り、肩にもたれかかってくる。
「...今夜は...期待に答えねぇとな？」
「期待に答え...？って、もう、勝己兄ちゃん！」
照れるAの顎を持ち、そっと唇を合わせていく。
「んっ...ん...。」
段々と深くなる口付けを...声を漏らして受け止める姿に興奮を覚える。
「勝己...兄ちゃ「勝己って...呼べや。」」
ぎゅうと抱きつき、涙目で「勝己。」と呼んだ。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年9月25日 3時
