４７話目 ページ47
「爆豪くん、無理したらあかんよ！背中縫ってるんやで！」
「おめェの傷、思ったより深かったらしくてな。とりあえず看護師さん呼ぶか？」
「いらねぇ。じっとしてりゃ...痛くねぇ...わ。」
ふと時間が気になってデクに聞くと夜中の３時だと言う。
「Aには...連絡...したんかよ？」
「しようかと思ったんだけど...もう夜遅かったし、命に別状が無かったからしなかったんだよ。した方が...良かったかな？」
「いや、しなくて正解...だわ。クソ髪、俺のスマホ...渡せ。」
「お、おう。」
クソ髪は俺のカバンを漁ってスマホを取り出した。
案の定...AからLINEが入っていたが、返事をするには遅すぎる。
俺は読まずに枕元にスマホを置いた。
「いつ...帰れんだ？まさか...入院...かよ？」
「心配すんな、爆豪。明日の昼...いや、正確には今日の昼過ぎには帰れるらしいぜ。ただ、ヒーロー活動は最低でも２週間は出来ねぇんだとよ。」
「２週間...だ？」
この年末に２週間も休むのは...まずい。
俺はチッと舌打ちをして頭を抱え込んだ。
「あの...さ、かっちゃん。その事なんだけど...。」
「んだ？...またてめぇ...妙な事「いや、俺から頼んだんだよ、爆豪。」」
焦った顔をしながら話すデクの言葉を遮り、クソ髪は説明を始めた。
「この年末、さすがに現場...穴あけらんねぇだろ？で、皆にLINE送って...暇があったら助けてくれって頼んじまった！」
「皆...って...。」
「轟くん、耳郎さん、峰田くんに瀬呂くん...他にもおるんやけど、爆豪くんの現場手伝ってくれるって！」
「あぁ！？クソ髪...てめぇ！...痛ぇ！！」
背中の傷を忘れてガバッと起き上がった俺は...あまりの痛みに大声で叫んでしまう。
「あ...ああっ、かっちゃん、大丈夫！！！」
「大丈夫...じゃ...ねぇわ。くそが...。」
「アハハ、爆豪くん。怪我してても爆豪くんやね。」
俺の体を支えに来たデクを睨み付け、笑い出した丸顔に舌打ちをする。
「爆豪くん。皆、爆豪くんの事好きやから助けたいって思ってるんよ。甘えたら良いんよ、な？」
「人の好意は素直に受けるもんだぜ？」
「うっせ...てめぇが...言うな。」
その後しばらく談笑して、皆は帰って行った。
窓の外を見ると、白々と明るくなってきていて夜が開けようとしている。
(...また余計な事しやがって...。)
そう思いながら、有難いとも...思える。
昔の俺なら絶対にそんな事は思わない。
ため息をつき、俺はそっと目を閉じた
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月1日 14時
